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カテゴリ:読書日記
丸谷才一「輝く日の宮」を読んだ。
ストーリーを楽しむというより、章ごとに変わる文体の華麗さや、バウムクーヘンのように細やかに積み上げられた知識、それから小説家の「文学的想像力」を味わう、ちょっとインテリっぽい本。 わかっていながら惹きつけられてしまう、読むのをやめられないのは、作家が日本語のうつくしさを知り抜いているから。 それにしても高校時代、午後の気だるい光が差し込む図書室の片隅で、うっすらほこりの積もった源氏物語のページを繰った青春の日々を思って、少し胸が痛んだ。 漠然と甘酸っぱい希望を抱いて、それだけを糧に生きていたあのころのわたし。 5年後の自分が、港のある遠い街で、まさか本当にこんな仕事をするなんてね。 夢には終着駅なんてなくて、地平線までのびる線路みたいに、ただつづいていくものなんだろう。 …どこかにそんな歌があったな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.11.16 15:38:48
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