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カテゴリ:読書日記
仕事をさぼって喫茶店のソファに沈み、上が甘くて中はほろ苦いウインナコーヒーを飲みながら、宮本輝「錦繍」を読む。
題名の通り、美しい言葉で織り上げられた刺繍みたいな小説。 人間くさいのに嫌味がなく、哲学的なのに説教くさくない。 人はタペストリーを織り上げるみたいに、ひと針ひと針、丁寧に人生を生きるしかないのかもしれない。 織っているとき全体の絵柄なんかまるでわからないけど、人生の終わりにふと振り返れば、誰の足跡も錦糸で刺繍を施したうつくしい絨毯のように、世界にひとつしかない文様をかたち作っているのかもしれない。 …とかなんとか、とにかく感動して、「ああ泣かされるなー」とわかっていながら、案の定本を閉じるときには号泣。 ひさしぶりに、ページをめくる手がやさしくなるようなよい小説を読んだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2003.08.10 23:12:35
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