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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
biscuit5750@ Re[3]:子どもを持つことの不自由と、自由(11/17) >バーソロミューさん お久しぶりです! …

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2006.12.04
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カテゴリ:おしごと日記
こつこつと準備をしてきた同期のひとたちの研修が始まる。
膨大な資料をそろえ、会議室のレイアウトをし、懇親会の最終チェックをし、我ながら大活躍。
「bisさん、今回はほんとによく働いたねー」と上司にしみじみ言われる。
講師の先生をお迎えに行くとき、ひさしぶりにちょっとだけハイヤーに乗った。なつかしい。
車の窓から、綺麗に色づいたイチョウ並木が見えて、得した気分。
表参道のイルミネーションが今年からまた始まったことを、運転手さんに教わる。
ひとつの仕事で、ふたつ、得しちゃった。

懇親会で受付をしていたら、入社するときとてもお世話になったえらいひとに声をかけられた。
「もしかして…bisだよね?」って。

…あの、わたし、半年前から本社にいるんですが。
週に1度は廊下ですれ違って、そのたびにあいさつしていたのに、あなたはまるで知らない人みたいにそっけないから、「記者じゃなくなったら所詮こんなもんなのね」って寂しく思っていたんですよ!

というようなことをやんわりと伝えたら、「ごめんごめん。だって入社したときはもっとぽっちゃりしてたから」だって。
ふんだ。どうせむちむちに太ってましたよーだ。
それに今日、わたしはひさしぶりに、あのころのような黒いスーツを着て、一時期のように髪を結っていたからね。

病気になったいきさつや今の仕事の話を少しだけ、あとは冗談を言って笑っていたら、彼はふっと真顔になって、「俺のところに来るか?」と言った。
びっくりして、何も言えなくなってしまった。
会社には、会社の論理というものがあり、それは個人の一存でねじ曲げられるようなものではないし、仮に無理やり曲げたとしても、そのおつりはきっちり、ずるをした本人に返ってくる。
そんなことは、相手もわたしも当然わかっていて、だから、結局彼の言葉は嘘なんだけど、嘘とわかっていてもうれしかった。
実現できないということを忘れるくらい心から、そう思ってくれたことがわかったから。

いやだなあ、冗談ですよね。というつもりで黙って笑うほかに、わたしにできることがあっただろうか。
相手もはっと気がついた顔をして、少し困ったように笑い返した。

このひとの期待に応えられないということを、わたしはあのときもこのときもいつも、心のどこかで申し訳なく思っていた気がするのだ。
今夜を境に、わたしは、「あのひとの期待に応えなくちゃ」と思う理由をひとつずつ失っていくだろう。

変だなあ。
ほっとするはずだったのに。
わき上がってくる、この途方もない寂しさはなんだろう?





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Last updated  2006.12.08 16:13:52
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