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カテゴリ:読書日記
(ロジェ・グルニエについてはこちらを) 著者の、ジャーナリストとしての経験をもとに書かれた短編集。 オリンピック取材に同行する、書けない小説家。 魅惑的な女が、ありきたりな女に変ぼうする瞬間。 不幸を呼ぶ美人記者… 人の世のおかしみやかなしみがていねいに切り取られていて、読んでいると何だか安心する。 事件や事故や数奇な運命についてつづっているのに、行間にはふしぎな静けさが満ちている。 どうしたらこんな文章が書けるのか。 おそらく、どんな出来事の向こうにも人間がいて、その人間ひとりの中にもさまざまな顔が共存していることを、おろそかにしないからだろう。 わからないことはわからないまま、無理やり結論を出さずにそのまま文字にするところもすばらしい。 * 両親をさそって、話題のIKEAへ行く。 スウェーデン生まれの家具屋さん。 広大な倉庫の2階がショールーム、1階が陳列スペースになっている。 客はまず、チェックリストと鉛筆を持ってショールームを回り、欲しい商品をリストアップして、陳列スペースで商品をピックアップするしくみ。 何しろスペースがでかく、品ぞろえがすさまじく、驚くほど安い。 安いのに、ひとつひとつのデザインがスマートでお洒落。 お洒落に見えるのはたぶん、日本のデザインを見慣れているからだろうけれど。 ジャムのびんと、読書用スタンドを手に入れる。 これから新しい生活を始めるとか、家の模様替えをしたいとか、どうしてもこれが欲しいとか、何か明確な目標とエネルギーがあるときに行く場所。 「ちょっとのぞいてみようか」というにはあまりにもスケールがでかすぎる。 実家からでも会社に通えるのに、あえてひとりで暮らすことを選んだわたしが、家族の中でできるのは、新しい風を吹き込むこと。 ひとりで過ごす時間に育てたものを、少しでも家族に還元すること。 記者をしている間は、家族どころか自分の体さえ顧みる余裕がなくて、妹にずいぶん負担をかけたからね。 今度は、わたしの番です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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