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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
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2006.12.28
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カテゴリ:観劇日記
渋谷BunkamuraでNODA・MAPの新作「ロープ」観る。

ステージには、プロレスのリングがひとつ。
リングの下に棲みつくコロボックルの女(宮沢りえ)。
プロレスは八百長ではない、と信じつづけるレスラー(藤原竜也)。
ふたりとも若いけれど舞台映えする役者さんなので、のっけから目が離せない。
宮沢りえ、こんなに芯のふとい、どろどろした生命力を醸し出せる女優だったのだなあ。
あの細い身体で妖精のように広いステージを飛び回り、迫力のある長ぜりふをひと息にこなして、息ひとつ乱れない。驚いた。
渡辺えり子、宇梶剛士、そして野田秀樹の存在感が舞台を引き締めている。

そして野田秀樹一流の、息もつかせぬ見事なせりふ回し。
このひとの書く戯曲は、観る側にも、常に思考し続けることを求める。

やがてすべての伏線が、ゆるやかならせんを描きながらひとつの結末に向かって動き出す。
何度舞台を観ても、いちばん胸が高鳴る瞬間だなー。

戦うということ。
理性と狂気。
生きていることと、死ぬこと。
人間と、鬼。
さまざまな境界線が次々と目の前に立ち現れて、いつの間にか涙が止まらなくなっている。

わたしたちにできることが、あるだろうか。
見つめること。
ただ、目を見開いて。
語りつづけること。
リングの外の、コロボックルのように。
そして、立ち止まること。
惰性ではね返るのではなく。
それらがたぶん、わたしたちが人間であり続けることの根拠になる。


開演前、劇場の前に藤原竜也のカレンダー売り場を見つけて、「いやあ、さすがにこんなところで買うひとはいないでしょう」と思っていたんだけど、終演後、劇場を出たところでふらふらと吸い寄せられる。
一緒に観ていたひとに慌てて腕をつかまれ、事なきを得ましたが。
だってー、かっこよかったんだもん!

Bunkamuraの外に出たら、暮れの渋谷は音と光と酒のにおいでいっぱい。
すり鉢のふちまで混沌と騒音が詰まっている。
この何でもない、当たり前の、ごちゃごちゃした平穏が、一日でも長くつづきますように。
きっといい方向に向かっていくと信じているし、そのためにできることがあれば、できる限りたくさんしよう。
いつかじゃなくて、いま、この瞬間から。





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Last updated  2007.01.01 20:30:44
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