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カテゴリ:読書日記
昔一緒に働いていた先輩がひさしぶりに東京へ来ると知らせてくれたので、ごはんを食べる。
あの2年あまりは死ぬほど辛かったけど、こうして今もわたしを覚えていてくれて、連絡をくれるひとがいる。 あんなにしんどかったことが、たった2、3年で笑い話になる。 しがらみは消え、きびしい仕事を通じて築いた信頼だけが後に残り、あのころは話せなかったことを、いくらでも、いつまででも楽しく話せる。 人生のしくみって、すてき。本当によくできている。 帰り道で、「はじめての文学」、ばななさんの巻を買い、ベッドの中で一気に読む。 「キッチン」、やっぱりいいなあ。 文章は、今のばななさんの方が母性があって好きだけれど。 わたしはひとりで引っ越しをするたび、「引っ越しはパワーだ」というあの有名な一節を思い浮かべながら引っ越しをがんばってきたし、仕事で疲れて料理をするのが面倒な夜は、「キッチン」の続編「満月」で、みかげが料理を作って作って作りまくるシーンを思い浮かべてがんばった。 おかげで無精者のわたしはいま、引っ越しも料理も相当好きだ。 小説と一緒に生きるって、きっと、そういうシンプルなことでいいんだな。 あとがきでばななさんが「私は(中略)小説の世界では言葉で魔法を使います」と書いていて、その覚悟の深さに心がしんとした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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