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カテゴリ:読書日記
平松洋子「買えない味」読む。
向田邦子の系譜に連なるうまいものエッセイ。 磁器と陶器。冷やごはんのうまさ。まな板の呼吸。鉄瓶の味わい。 文章は少し癖があるけれど、勢いとリズムがある。 活きのいい魚のように、言葉がぴちぴち踊っている。 つい手に取っては1ページ、また1ページと読みすすめるうち、だんだん心地よくなる。 長年の懸案が解決するさまを「17年前、釣瓶落としの夕暮れであった」とあらわした一文が印象的。 「釣瓶落とし」は「ししおどし」と書き換えても楽しいな。 あのかーんと甲高い音が、腑に落ちる瞬間の雰囲気をよく表す気がする。 何と言っても、台所仕事欲を刺激する文章たち。 日々の台所仕事は、女性に与えられた創造的な特権のひとつなんだと感じさせる。 料理をする気力のわかない日など、この本をめくったら腹に力が入りそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.01.26 11:03:23
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