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カテゴリ:読書日記
鴻上尚史「孤独と不安のレッスン」読む。 鴻上さんは、わたしが大好きだった劇団「第三舞台」の主催者・演出家。 孤独には、「ニセモノの孤独」と「本物の孤独」があるんだって。 ほんとうはわたしたち、「ひとり」が寂しいんじゃない。 一人でいることは恥ずかしいこと、虚しいことという思い込みを、子供のころから植え付けられている。だから、苦しい。 思い切って電話やメールに頼ることをやめ、一人であることと向き合った瞬間から、その孤独は本物になる。 できれば自然の中で、ちゃんとひとりになって、退屈すること。 退屈して、ひりひりするような孤独を味わって、それを突き抜けたところに、宝物がある。 やりたいことが、はっきりと見えてくる。 孤独って、結婚したり子供を産んだりすれば、やわらいだり種類が変わるんだと思ってた。 だけどこの本によると、何も変わらないらしい。 それどころか、年を重ねて家族が増えると、その分だけ孤独は深まっていく。 ちょっとがっかりしたけれど、仕方がない。 一生付き合っていかなくちゃならないものなら、ちゃんと向き合って抱きしめよう。 とてもこわいけど、そのとき見える景色は何だか、今わたしが想像するよりうんと明るい気がする。 それから不安。 これも、根こそぎなくそうとして焦れば焦るほど、自意識とともに増大する。 後ろ向きな不安をエネルギーに変えて前に進むことができたとき、その不安は前向きなものに変わる。 「他人」と「他者」はちがう。 他人はわたしの人生を通り過ぎてゆくだけだけれど、他者は愛情や安心とともに、孤独や不安をもたらす。 他人ではなく他者とのコミュニケーションを、あきらめずに繰り返すこと。 それが、不安や孤独と付き合うレッスンにもなるんだって。 自意識がむくむくと頭をもたげてきたら、今目の前にいる相手にぐっと集中してみること。 誰かに小さな「おみやげ」(モノに限らない)を渡すこと。 折に触れて口ずさむ「ことば」を持つこと。 などなど、不安にのみ込まれないための具体的な方法がたくさん。 これなら、わたしにもできそうだ。 さっそく、先日買い求めた茨木のり子さんの詩集を、ときどき声を出しながらゆっくり読んでみる。 時間の流れる速さが、少し変わった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.06 15:49:58
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