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カテゴリ:読書日記
ランディさんの「寄る辺なき時代の希望」読む。 読み始めたら止まらなくなり、ひと息に読む。 精神障害。引きこもり。その末の自殺。アル中。原発。水俣病。 さまざまなメディアがこぞって採用し、けれど一方で、第三者が「個」として公の場で素朴な意見表明をすることが一種のタブーとなっているテーマばかりが取り上げられている。 だから、ミーハーなわたしは好奇心をかき立てられて、読み進めずにいられない。 けれど、ランディさんの文章はそれだけじゃない。 ランディさんの言葉には、嘘がない。 自分の弱さも、情けなさもだらしなさも、みんなさらけ出してしまう。 さらけ出して、それでもまだ見えない内面の闇に切り込むために、社会の闇にどんどん深く潜っていく。 そうして、心身を全部使って感じたことを包み隠さず率直に書く。 だから力がある。 自分の中の、自己開示の扉がむずむずと疼き、ランディさんの意見に賛成でも反対でも「わたしはこう思う」と語り出したくなってしまう。 不特定多数の人に向けて自分をさらけ出すには、ものすごいパワーがいる。 わたしには、とてもそんなパワーがない。 日常の雑事に負けてしまう。 だからわたしは、ランディさんの文章に惹きつけられる。 巻き込まれ、振り回されることを楽しむ。 最後のページを読み終え、本を閉じたらため息が出た。 決して軽くはないテーマを取り上げた本のはずなのに、心に残ったのは強烈な「生」の衝動と、体を動かした後のような心地よい疲労感。 ランディさんの文章は明るいからな。元気が出る。 こういうのびのびした文章が書ける人に、わたしもなりたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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