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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
biscuit5750@ Re[3]:子どもを持つことの不自由と、自由(11/17) >バーソロミューさん お久しぶりです! …

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2007.07.01
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カテゴリ:読書日記


「私的生活」、乃里子と剛のその後。

乃里子はすっかり大人びて、ブリジット・バルドーをお手本に、野良猫みたいな「一人住みの幸福」をしっとり、奔放に生きている。
美しい女の友人とごはんを食べる時間も、ひとり軽井沢のホテルで猫足のバスタブに身体を沈める時間も、わたしにとっては恋、と乃里子が言い切る場面で、本のページに向かって、それから紙の向こうにいる田辺さんに向かって、「うんうんうん…」と深く頷く。
こんな大事なこと、田辺さんはわたしが幼稚園に通う前に、とっくに書いてくれていたのだ。もっと早く読んでいれば!
いろいろな間違いが防げたかもしれないのに(?)

それから、「やさしい声を出す機械」のこと。
女が男に、男が女に対して持っているその機械は、いったん壊れるともう修繕できない…という描写。
なんてすばらしい比喩なんだ!
そうそう、そうなんだよ。
あの機械が発動しない、やさしい声を出せなくなった相手とは、もう恋人でいられない。
自分がやさしい声を出せなくなってみて初めて、「ああ、もうだめなのか」と悲しく気づくこともある。
(結婚というのはもしかしたら、やさしい声を出す機械が壊れてから本番が始まるのかもしれない、と今ふと思った。)

乃里子と剛の会話も軽妙なだけじゃなく、ますます味わい深くなって、「乃里子はこのまま、独りの自由を愉しんでいくのかな…」と思っていたら、最後にどんでん返し。
背すじがぞくっとするような寂しさを味わう。

ふたりでいる不自由。ひとりでいる孤独。人生は苦い。
煙草なんか吸わなくても、お酒なんか飲まなくても、十分に。





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Last updated  2007.07.02 23:04:57
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