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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
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2007.07.02
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カテゴリ:読書日記


図書館で長いこと予約待ちをして、ようやく順番が回ってきた本。
なので、ページを開く感慨もひとしお。

一つ目の短編「器を探して」を読みきって、驚く。
これ、本当に森絵都さんの小説?「宇宙のみなしご」の?「永遠の出口」の?「リズム」の?「DIVE!!」の?
行間から匂いたつ官能。そして働く女の意地。あっけにとられる意外な結末。
森さんが大人向けの物語を書くと、こんなふうになるのか…とさらに読み進める。

読み進めながら、どんどん訳がわからなくなる。
まるで全部別の作家が書いたみたい。
筋書きも、空気感も、文章の密度まで、短編ごとに全然違うのだ。
それでいて、ひとつずつに読者を惹きつける不思議な魅力がある。
げらげら笑ったり、しみじみと涙ぐんだり。
どうやら、何かひとつの対象(主に仕事)に向かって、ひたむきに前向きに打ち込む人を主人公に据えた物語群なのだ、ということだけは漠然とわかってくる。

そして、最後に置かれた表題作「風に舞いあがるビニールシート」で、心臓を射抜かれる。
国連難民高等弁務官事務所で働く里佳。その「元」夫で、アメリカ人のエド。
エドはフィールド、つまり世界中の難民キャンプを飛び回っていて、ほとんど日本に帰ってくることもない…という設定。

途中からわたし、何度も嗚咽して、本を開いていられなくなるほどでした。
もしこの小説が直木賞をとっていなかったら、直木賞なんていっそなくしてしまった方がいい!(…と、いうのはさすがに言いすぎか。そもそも、わたしはこういうストーリーにめっぽう弱いのだ。「風に立つライオン」とか。しかし削らずに残してしまう)
圧倒的な筆力。構成力。取材力。リアリティ。それから愛。

図書館で借りるなんてケチなこと言ってないで、去年出たときにすぐ買えばよかった、こんなことなら!
手元に置いて、何度でも読み返そう。そして、里佳とエドに勇気をもらうんだ。





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Last updated  2007.07.03 14:50:44
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