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カテゴリ:こころもよう
前の晩にちょっとしんどい出来事があって、しょんぼりする。
しょんぼりと花柄の傘をひらいて、会社に向かう。 落ち込んでも二日酔いでもけんかしても、何にせよ朝になったら服を着替えお化粧して行くべき場所があるということ。 そのことに、わたしはずいぶん救われていたなあ、と思う。 「これではイカン!」と思い、少しずつ持ち直すための努力をする。 面倒な仕事をひとつずつ着実に片づけ、 モンダイについても上司ときちんと話し合い、 食欲がなかったけど、新鮮なカツオのたたき定食をがんばって食べる。 夕方は飲み会のお誘いを断って(断腸の思い!)、 本屋さんで「リンカラン」と銀色夏生さんの詩集(高校生のころ、大好きだった。いくつか暗記しているくらい)を買う。 ここらへんから、だいぶ調子が上向いてくる。 ずっと入ってみようと思いながら、まだ立ち寄ったことのなかった喫茶店に入り、桃ジュースを飲む。 桃ジュースは桃を丸ごと1個、くるくるとむき、ミキサーにかけるのでした。おいしい。夏の味。 傘をさし、ゆっくり歩いて家に着くころには、かなり気持ちがまるくなっている。 帰宅してからの一連の作業も、いつもよりていねいにやる。 気持ちをゆるめたい日のとっておき、ジョアン・ジルベルトの東京ライブCDをかけ、お米をとぎ、ごはんが炊けるまで、カプチーノをすすりながら小さなビスケットを3枚だけ食べる。 おお!うそのように元気が出てきた! 視界まではっきりした感じ。 * 「リンカラン」は働くおかあさんの特集で、ゆったりした気持ちで読んでいたら子供が産みたくなった。 お母さんになろうなんて、病気になるまで考えてみたこともなかったのに。 仕事を辞めてまで結婚しようとも、もちろん思わなかった。 「もったいないから、仕事つづけたほうがいいよ」と大まじめに友達を引き止めたりしていた。 価値観が変わったというほど大げさなものじゃないけど、大切にしたくなったのだ。 自分が、女に生まれたということ。 (もしかしたら)子供を産める性であること。 あたりまえの、ふつうの、平凡な暮らし。その中にあるわたしだけの幸せ。 好きな人といつでも手をつなげること。 人の目なんか気にせず、そういうことを堂々と大切にするために、わたしは休職を余儀なくされたときに会社をやめなかったのだと思う。 * お風呂に入ったらヨガをして、ろうそくの灯りで詩集を読もう。 恋する気持ちを、無数の栞にして行間にはさみ込みながら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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