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カテゴリ:読書日記
筒井康隆「敵」読了。 執拗なほど細かく濃密な描写。 老人のひとり暮らしを徹底的に描写しているだけだというのに、この閉塞感のなさ、突き抜けた広がりは何だろう。 推理小説でも読んでいるみたいに、読みはじめたら止まらない。 そうこうするうち、読んでいるわたしの意識と儀助の意識の判別がつかなくなっている。 次第に混濁してゆく儀助の意識。夢とうつつ。 いや、ほんとうは、読んでいるわたしが混乱しているのかもしれない。 「敵」とは何か。どこから来てどこへ行くのか。ほんとうに来るのか。儀助は玄関先に石けんを置いたのか、置いていないのか。 これはたぶん、宇宙人もクローン人間も登場しない、他者さえほとんど現れない、究極のSFホラー小説なのではないかと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.07.20 16:14:09
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