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カテゴリ:読書日記
トルーマン・カポーティ「おじいさんの思い出」を読む。
翻訳は村上春樹、そして銅版画は山本容子。美しい本だ。 このところ、カポーティの「冷血」(なかなかひと息には読めない)を少しずつ読んでいて、読みながら、これを書かなければならなかったカポーティの孤独について考えていた。 「冷血」を書いたことで、彼はそれ以降、一遍の小説も完成させることができなくなってしまったのだ。 だから、ごく初期に書かれたこの短編(「おじいさんの思い出」)を読んで、何かが腑に落ちると同時に、少し安心した。 子供の世界をこんなにも繊細に描けるなんて、本当にすごい。 すごいけれど、大人になってもこんな感受性を持ちつづけていたら、どれほど生きにくかったことだろう! 少年がおじいさんから受け継いだ「秘密」は、カポーティの胸にも生きつづけていただろうか。 その秘密が、亡くなる間際、一瞬でも彼の心をあたためたことを、わたしは信じたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.07.24 16:55:16
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