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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
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2007.08.23
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カテゴリ:読書日記
大江健三郎「日常生活の冒険」を読む。
昔読んだいくつかのエッセイで、大江さんの文章は難しいという先入観を持っていたのだけれど、この小説は読みやすかった。
わたしはつるんとした簡明な文章を書くのが好きだし、そういう作家の書きものも好むけれど、大江さんの文章はちがう。
ざらざらした手ざわり。繰り返し現れる引っかかり。
「つるん」が書けなくてざらざらしているのと、「つるん」はもちろん書けるけれど、そこを通り過ぎ、あえて手ごたえのある文章を書くのとでは、全然意味が違う。
大江さんが天才なのは、たぶん後者の意味において、なのだろう。

構成にも圧倒される。
よくある小説の型を、わざと壊すような手法。
ような、というより、明らかにわざと壊しているのだ。
冒頭と終わりの方に同じ絵はがきの文面が出てくるのだけれど、小説を読む前と後でこんなにも印象がちがうのか、と驚かされる。
驚くばかりか、読者である自分自身の変化を自覚させられる。

最後の1行を読み終え、付せんがびらびらぶら下がった本を閉じて、ため息。
小説を読んで、こういう種類の快楽を味わったのはひさしぶりだ。
作者と一緒に物語の舟に乗って運ばれていくのではなく、物語の世界を掌握し、運んでいく作者の力量に酔う。
ドストエフスキーを読むときに感じる心地よさに、これは似ているな。





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Last updated  2009.03.01 23:05:12
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