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カテゴリ:花嫁日記
実家へ帰る。
夫婦げんかがこじれた…わけではなくて、くまが仕事でしばらく留守にするので、その間実家で過ごすことにしたのです。 車の運転がおぼつかないので多少心ぼそいのと、結婚式に関する実家との打ち合わせや、東京でしかできない諸手続きもいろいろあるので。 時間はあるから…と夜行バスで帰ることにして、晩ごはんの後、最寄りの無人駅までくまに送ってもらう。 ボタンを押してドアを開け、乗り込んだ9時台の最終電車はお客さんもまばらで、車窓は真っ暗。深夜まで満員の地下鉄とは、別の種類の乗り物みたい。 バスの出発時間より1時間も早く着いてしまったので、駅前をぐるっと見回して、居酒屋とコンビニ以外で唯一明かりが灯っていたドーナツ屋さんに入る。 眠れなくなると困るので、あたためたミルクを注文して、貸し切り状態の店内で静かに時間を過ごす。 この2週間、暗くなってからはほとんどずっと隣にくまの気配があったので、ひとりでいることがふしぎな感じ。 バスに乗り込んで、明かりが消えてから1時間くらいは眠れたけれどあとは眠気がさめてしまい、カーテンの隙間から星を見上げたり、買ってきたチョコレートをかじったり、読書灯を点けて、須賀敦子さんの随筆をめくったりして過ごす。 結局、明け方に少しうとうとしたくらいでほとんど眠れず、体のふしぶしが痛くてだるい。 次の日、朝から活動したいときには向いていないな、夜行バス。 「海辺のカフカ」のカフカ少年みたいに若いころならまだしも、今のわたしの体にはちょっときついみたい。 早朝の新宿駅に降り立ったら、空気が苦くて驚く。 わたしの肺は、たった2週間でずいぶん贅沢になってしまったのだな。 車窓から眺める朝の東京を、「ああ、なつかしい」と思い、東京で暮らしていたときのざらっとした感触を引き出しの奥から引っ張り出しながら、同時に、ここが自分の居場所でなく、ときどき訪れる場所になったことを知る。 朝6時すぎ、愛想の悪いタクシーに送られて実家にたどり着き、両親と2、3言葉を交わしたら、ばたんと布団に倒れ込んでそのまま昼まで眠る。 帰りは新幹線にして、本当によかったことだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.01 22:46:17
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