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カテゴリ:花嫁日記
関東に台風が近づいているというので、半日予定を早めて、明るいうちに北国へ向かう。
新しい飲食店街がオープンしたらしく、東京駅は人でいっぱい。 人ごみをすり抜けて新幹線の座席に体を沈める。 村上春樹さんの本を読むつもりだったのに、発車するかしないかのうちに眠り込んでしまった。 眠りに落ちていきながら、ふと思う。 ああ、わたし、もう泣かないんだな。 * 目を覚ましたら、列車はわたしの住む町に差しかかっていて、車窓には緑の山や田んぼが広がっている。田舎の景色。 寝ぼけたあたまで帰ってきたな、と思い、そんなふうに思った自分に少しおどろく。 そうか。わたしの帰る家は、実家でも、ひきはらった東京の部屋でもなく、くまと暮らすこの町になったのだな。 最寄り駅からタクシーに乗り、雨がひどいのでアパートの真下につけてもらう。 それでも5メートルくらいは雨をくぐって走らねばならず、「濡れるかなあ」と思いつつお釣りを受け取って車の外に出ようとしたら、運転手さんが「よーい、ドン!」と笑いながら言った。 ぱっと気持ちが明るくなって、胸の奥にくすぶっていた感傷も吹き飛び、大きなかばんを抱えて笑いながら玄関まではしる。 そうそう。この町の、こういうところがわたしはとても好きなのだった。 今夜はくまの帰りが遅いので、お茶をいれて本を読んでのんびり過ごそう。 穏やかな時間、当たり前だけど当たり前じゃない毎日が、ひとつずつ積み重なってゆく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.11.07 16:02:31
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