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テーマ:最近観た映画。(40140)
カテゴリ:映画日記
映画「モナリザ・スマイル」を見る。 土曜の朝、遅めに起きて、パジャマのままコーヒーをいれ、ホームシアターのスピーカーをONにして、夫婦でDVD鑑賞。 主演のジュリア・ロバーツがきれいでまぶしい。 1953年、アメリカでもっとも保守的な東部の女子大に、西部からリベラルな美術史の先生、キャサリン(ジュリア・ロバーツ)がやってくる。 才色兼備の女の子たちを、今をときめく女優たちが乱れ咲く花のように競演していて、それだけでも見ごたえあり。 ところでバージニア・ウルフがケンブリッジ大学で、女性の精神的、経済的自立について講演をおこなったのは1928年。 アン・モロウ・リンドバーグが「海からの贈物」を記したのは1955年。 女が大学に行く、というだけでも画期的だった時代。女の模範的な生き方は家庭に入り、夫に仕え子供を育てること、という考え方に小さな風穴が開きはじめたころだ。 母親にすすめられるまま在学中に結婚し、キャサリンに反発しつづけるベティも、危険な香りのする恋に夢中になるジゼルも、きっと幸せになりたかっただけなのだ。 「自分で決めなさい」「自分の手でつかみとりなさい」というメッセージを、キャサリンは繰り返し生徒たちに伝える。 それはほんとうにあなたの価値観? あなたは何を美しいと思う? 何をしているときに幸せを感じる? 何を表現したい? どんなふうに生きたい? 婚約者に秘密でイェール大学の法科に合格したジョーンが「自分で生き方を選べというなら、これがわたしの選んだ人生よ」とキャサリンに啖呵をきるシーン、かっこよかった。 選択肢があまりにも少なかった50年前と、選択肢が多すぎる現代で、女性の直面する問題がほとんど変わらないことにまず驚く。 世間は嵐の海で、人生は冒険。わたしたちはひとりぼっちで放り出された小さな船だ。 変わってゆく、移ろってゆく日々の中でも変わらない何かを見つけるために、女たちは大学へ行く。本を読む。 * 「絵の先にあるものを見なさい」とキャサリンは言う。 表現したいという情熱。その情熱を形にするエネルギー。そして、自由に感じる心。 言葉にするのは簡単だけれど、自由に感じるって案外むずかしい。 ちょっと油断すると、感受性は、ぶ厚いよろいに身を固めたトロイの兵士みたいに、がちがちに固まってしまう。 よろいを形づくるものは知識だったり、役割だったり、子供時代に教えられた価値観だったり、さまざまだ。 よろいを脱ぐことはおそろしい。 よろいによって世間の冷たい風から守られている、とかたく信じているから。 けれどむき出しの、裸の心で作られた芸術品の前に立つとき、わたしは知らず知らずのうちによろいを脱いで、裸の心で作品を向き合ってしまう。 そのとき初めて、わたしは自分の着ているよろいの厚さに気づく。 なんてことだ!わたしはこんなものを着ていたのか。外にはこんなにも自由で、楽しい世界が広がっていたというのに。 その景色が見たくて、わたしは美術館へ通ったり、小説を読んだりするのだな、きっと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.03.06 19:31:22
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