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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
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2008.03.01
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カテゴリ:映画日記


映画「モナリザ・スマイル」を見る。
土曜の朝、遅めに起きて、パジャマのままコーヒーをいれ、ホームシアターのスピーカーをONにして、夫婦でDVD鑑賞。
主演のジュリア・ロバーツがきれいでまぶしい。
1953年、アメリカでもっとも保守的な東部の女子大に、西部からリベラルな美術史の先生、キャサリン(ジュリア・ロバーツ)がやってくる。
才色兼備の女の子たちを、今をときめく女優たちが乱れ咲く花のように競演していて、それだけでも見ごたえあり。

ところでバージニア・ウルフがケンブリッジ大学で、女性の精神的、経済的自立について講演をおこなったのは1928年。
アン・モロウ・リンドバーグが「海からの贈物」を記したのは1955年。

女が大学に行く、というだけでも画期的だった時代。女の模範的な生き方は家庭に入り、夫に仕え子供を育てること、という考え方に小さな風穴が開きはじめたころだ。

母親にすすめられるまま在学中に結婚し、キャサリンに反発しつづけるベティも、危険な香りのする恋に夢中になるジゼルも、きっと幸せになりたかっただけなのだ。
「自分で決めなさい」「自分の手でつかみとりなさい」というメッセージを、キャサリンは繰り返し生徒たちに伝える。
それはほんとうにあなたの価値観?
あなたは何を美しいと思う?
何をしているときに幸せを感じる?
何を表現したい?
どんなふうに生きたい?
婚約者に秘密でイェール大学の法科に合格したジョーンが「自分で生き方を選べというなら、これがわたしの選んだ人生よ」とキャサリンに啖呵をきるシーン、かっこよかった。

選択肢があまりにも少なかった50年前と、選択肢が多すぎる現代で、女性の直面する問題がほとんど変わらないことにまず驚く。
世間は嵐の海で、人生は冒険。わたしたちはひとりぼっちで放り出された小さな船だ。
変わってゆく、移ろってゆく日々の中でも変わらない何かを見つけるために、女たちは大学へ行く。本を読む。

 *

「絵の先にあるものを見なさい」とキャサリンは言う。
表現したいという情熱。その情熱を形にするエネルギー。そして、自由に感じる心。
言葉にするのは簡単だけれど、自由に感じるって案外むずかしい。
ちょっと油断すると、感受性は、ぶ厚いよろいに身を固めたトロイの兵士みたいに、がちがちに固まってしまう。
よろいを形づくるものは知識だったり、役割だったり、子供時代に教えられた価値観だったり、さまざまだ。
よろいを脱ぐことはおそろしい。
よろいによって世間の冷たい風から守られている、とかたく信じているから。
けれどむき出しの、裸の心で作られた芸術品の前に立つとき、わたしは知らず知らずのうちによろいを脱いで、裸の心で作品を向き合ってしまう。
そのとき初めて、わたしは自分の着ているよろいの厚さに気づく。
なんてことだ!わたしはこんなものを着ていたのか。外にはこんなにも自由で、楽しい世界が広がっていたというのに。
その景色が見たくて、わたしは美術館へ通ったり、小説を読んだりするのだな、きっと。






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Last updated  2008.03.06 19:31:22
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