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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
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2008.03.10
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カテゴリ:こころもよう
春の妖精がようやく雪国にも魔法の粉をまき始めて、だんだんあたたかくなってきました。
週末には、今年に入って初めて外に洗濯物を干せた。
(あんまり寒いと、凍っちゃうのです)
乾きも早いし、部屋干ししないですむから明るくて幸せ…というか、こんなに明るかったのね、わたしの家。
先週は1回、それから今日も、だいぶ雪の溶けた道を走ってきました。
外の空気を胸いっぱいに吸えるのは気持ちいいなあ!
つい最近まで、深呼吸したら肺が凍りそうな寒さだったから、嬉しさもひとしお。

 *

先週は平日にくまのお休みがあったので、スキーに行ってきました。
初心者のわたし、去年はいきなりリフトに乗って、崖から突き落とされるライオンの子供のような恐怖を味わったので、今年はくまの申し出をきっぱり断り、スキー場の隅っこの斜面をせっせとのぼっては、しゅーっと滑りおりる。
山の上は天気もよくて、青い空と白い雪の中に立っているだけで幸せ。
疲れたら山小屋に入って、あたたかいほうじ茶をのみながら本を読む。
お昼には朝作ってきたおにぎりと、ラーメンをひとつ頼んでくまと分け合って食べた。
外で体を動かすのはなんて気持ちいいんだろう。
帰りはもちろん、いつも行く温泉に立ち寄る。
お湯に入ると、冷えてこわばった手足の先がきゅーっとのびる感じ。幸せ。
雪国の冬も、つらいことばかりじゃないな。

 *

週末、山のくま仲間とハチミツ採集に出かけていたくまが、バスの到着地まで迎えにきてほしいというので、ポシェットを下げて駐車場へ。
キーを差し込んでエンジンをかけ…ん? かからない。うんともすんともぷすともいわない。
「もしや家の鍵を差し込んだか…!?」と思い、まじまじと鍵を見つめてみるが、はっきりとトヨタのマークがついてます。
ひょっとしてわたしの体重が重いのか…と外に出てキーを回してみたけど、関係ないみたい。
昨日の午後は、たしかに動いていたのに。
くまに連絡して、修理の人に来てもらったら、どうやらバッテリー切れ…というか、バッテリーから白い泡が吹き出していた(!)らしい。
いちおう動くようになったんだけどおそろしいので、急遽くまの実家へ行って、別の車と替えてもらうことに。
ついでにくま父さんにたっぷり肉を食べさせてもらい、くま母さんに山ほどおやつを買ってもらう。
にくー!アイスー!と目の色を変えているわたしを見て、「おまえら、いったいどんなもの食べてるんだ」とあきれ笑いのくま父さん。
新婚家庭はやりくりがたいへんなのです。

 *

結婚前はわたし、自分が一週間の献立を組み立ててから買い物したり、こまめに電気を消したり、欲しいものをがまんしてよく考えたり、できる人間だと夢にも思わなかった。
環境で人は変わる。いや、変わらないか。今でも掃除は面倒だし、洗い物ためちゃうし、仕事が多いとすぐ「きーっ!」となってくまに怒っちゃうし。
けど、節約は思っていたほどしんどいものでもみじめなものでもなくて、どちらかと言えばゲームに似ているということも、やってみて初めてわかった。
無理してもつづかないから、楽しく。自分に向いているやり方で。いい加減さもけっこう大事。

 *

春だから…というわけじゃないのだけど、くまと相談して、新聞をとることにした。
そう、今までとっていなかったのです。記者だったこともあるくせに!
実家にはずっと新聞があったし、学生のときは新聞の勉強をしていたし、就職してからはもちろん仕事のために、早朝から深夜まで山のような新聞に囲まれて、ときには新聞におびえて暮らしたので、「新聞を読みたい」なんて気持ち、もう長いこと忘れていた。
けれど会社を辞めて新聞から離れ、活字にかかわる仕事をしているたくさんの友達や先輩や同僚とも離れて何ヶ月か経ったら、なんだか急に新聞が読みたくなったのです。
コーヒーをいれて大きなページをめくって、指にインクをつけて、世の中の動きやひとびとの考えを知りたくなった。
そうして、おやつを買いに入ったコンビニで一部買って、家に帰ってこたつでじっくり読んでいるうちに思い出した。
わたし、もともと新聞が好きだったんだな。
インクのにおい。紙の手ざわり。びっしり並んだ活字。
新聞を作る仕事は思っていたよりうんと大変で、わたしは作る人にはなれなかった。
でも、ひとときでも好きな新聞に関わる仕事ができてよかった。
新聞がどういうふうに作られているか、どんな気持ちで記事が書かれ、写真が撮影されているか、どこをどんなふうに読んだらおもしろいか、必要な情報はどこにあるか、働く前より少しはわかるようになったもの。(なんだか、小学生の社会科見学の感想文みたいですが)
記事を書く人になりたいと思った自分も、たしかに書く人だった時間も、書く人から読む人に戻るまでにかかった時間も、通り過ぎたいくつもの春みたいに、ただなつかしい。

最後の社会面まで読み終わったら、新聞を閉じて、ノートを広げよう。
いつ、どんな場所からでも、それがほんとうに望むことなら始められる。何度でも。
そのことを、わたしはなんだか新聞に教わった気がするのだ。





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Last updated  2008.03.10 14:54:44
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