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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
biscuit5750@ Re[3]:子どもを持つことの不自由と、自由(11/17) >バーソロミューさん お久しぶりです! …

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2008.04.24
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カテゴリ:読書日記


角田光代「八日目の蝉」読む。
思わず抱き上げてしまった他人の子供を連れ、逃げて、逃げて、逃げる女の物語。
今まで読んだ角田光代の小説の中でいちばん面白かった。
夕食後に読みはじめ、「おやすみ」とくまが寝てしまってもやめられず、明日早いのに…と思いながらもやっぱりページをめくる手が止まらず、深夜までかけてひと息に読む。
読みながらひどく喉が渇いて、ごくごく水を飲む。

ああ、絶望的にわかる、希和子の気持ちが。
そして、「こんな気持ち、絶対わたしにしかわからない」と大勢の読者に思わせる小説って、まず外れなく面白い。
途中、いくつかの場所で感情移入しすぎて、ぐーっと落ち込みかける。
最後まで読めば救いがあると信じて、ひたすらページをめくる。
期待は裏切られず、ラスト、とてもよかった。本気で潜った作家にしか書けない言葉。
始めた物語を途中で放り出さず、きちんとふたを閉じるところにプロ魂を感じた。

希和子のしたことは法律にも人の道にも反する。たくさんの人を傷つけた。
でも、彼女の中で、それは筋の通ったひとつの物語だったんだ。
異常な物語に人々は好奇のまなざしを向け、石を投げる。
だけどほんとうは誰もが、それぞれ固有の、奇妙で異常な物語を生きている。
石を投げるのはそれが倫理に反するからじゃなく、誰かと比べることで、自分がまともだと安心したいから。
けれどどんな人も、最後には自分ひとりで、自分の物語を引き受けて生きてゆくことになるんだろう。希和子や、薫や、千草みたいに。
そしてその気になれば、この世界には、助けになるものがけっこうたくさん転がっている。
ありがたく使って、この変てこな自分で、最後まで生きてゆく。





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Last updated  2008.04.24 10:19:57
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