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カテゴリ:読書日記
「すてきなあなたに」読了。 「暮しの手帖」の真ん中あたりに、そこだけ黄色い、紙質も異なるページがあって、雑誌を買いもとめると、まず最初にひらく。 日常の中にあるちょっとすてきな、ささやかだけれどひとりの胸にしまっておくのは惜しいような事柄がやわらかい文章でいくつか紹介されていて、読みすすめると気持ちがほっこりする。 この本は、その連載を抜き出して集めた随筆集の1冊め。 買いもとめたのはずいぶん前で、すみずみまで読まなくとも、本棚に置いてときどきぱらぱらめくるだけで嬉しい気持ちになっていた。 あらたまって開いたのは、体調を崩して、ほかの本が読めなくなってしまったから。 けれどそんなときこそ何か気ばらしがしたくて、本棚の前に立ってみたら、この本がすーっと浮き上がってみえた。 ひとつひとつの文章が短くて、読みやすい。 穏やかな一定のトーンに貫かれているので、心が乱れることもない。 元気になったらこんな洋服を買おう、この料理も作ってみよう、と小さくても確実な希望を抱くことができる。 精神安定剤のようによく効いて、辛い時期をずいぶん助けられた。 自分への贈りものに、1冊ずつ時間をかけて、全部そろえようかと思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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