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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
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2008.08.07
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カテゴリ:読書日記
医者から安静を言いわたされたのをいいことに、家のなかを夫にまかせ、寝床に本を持ちこんで昼寝ざんまい、読書三昧の日々。



川本三郎「東京暮らし」。
著者は映画評論家で、元新聞記者。
町あるきにひとり旅、映画や猫をテーマに、テンポよくつづられる随筆の数々。
ブリヂストン美術館について記された最初の一文を読み、このひとの文章好きだ、と直感する。肌にあう。しっくりくる。
古い町並みに古書店、古い日本語、大衆食堂。
年月を経たものの美、使い込まれたものの豊かさ。
映画も大好きな「珈琲時光」や「かもめ食堂」が紹介されていて、嬉しい気持ち。

「禁止事項を作る」という項があった。
よくある○×式の映画評論は引き受けない。
否定より肯定を批評の基本にする。
「僕」や「私」をできるだけ使わない。
「作家としての心の修羅は原稿用紙の中だけでいい」という一文に、びりびりとしびれる。
か、かっこいい…

 *

「東京暮らし」を読みながらずっと思い浮かべていたのは、昨年暮れに亡くなった文化的上司さまのこと。
ご存命なら川本氏と年齢も近い。
上司さまも古いものたちを愛していた。
滅びゆくもの、見捨てられたものの中に、新しさや美しさを見つけることを喜びにしておられた。
時々きらっと光るやさしいまなざし、ゆったりした語りくち。
思い出すと、日々のちっぽけな迷いや、嫉妬や、不安や、執着が、すうっと晴れていく。
時を経れば経るほど、胸の中で熟成されて、重みを増してゆく記憶たち。
ああ。なんて大きな贈りものをいただいたのだろう。

川本氏の書いたものを、これからたくさん読んでみようと思う。
上司さまの、うしろ姿をさがして。





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Last updated  2008.08.07 10:44:21
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