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カテゴリ:読書日記
森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」読む。 ああ、おもしろかった! 舞台は京都。…の、ような場所。 夜の木屋町、古本市、そして学園祭。 舞台設定だけで、わくわくせずにいられない。 現実と妄想が混ざりあう独特の世界観。 そう言えば語り手となる「私」も「彼女」も、最後まで名前すら登場しない。 どんなクラブの先輩後輩なのかも語られない。 でも、読みはじめたら、きっとそんなことは一瞬で吹き飛んでしまう。 天狗の樋口さん。見目麗しい、大酒呑みの羽貫さん。 登場人物が、みんなとても魅力的なのだ。 そして、漢字が多いのに読みやすい、摩訶不思議な文体。 落語や詩吟のようなリズムと波があって、ぐいぐい読まされる。 それから映像的な文章。 登場人物の容姿はもちろん、風景やにおいや温度まで、ありありと目に浮かぶ。 奇妙なレトロさをたたえた語り口は、古いもの好き、文学好きにはたまらない。 何よりも読んでいる間じゅう楽しくて、ときどきげらげら笑って、最後にはちょっと幸せな気持ちになって、読み終えるとうんと心が軽くなっている。 読書の快楽を、思うぞんぶん味わった。 目指す頂は高いけど、わたしもがんばって書くぞー!とやる気ももらった。 世の中には、すばらしい書き手がほんとうにたくさんいることだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.08.17 11:22:24
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