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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
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2008.09.05
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カテゴリ:読書日記
ひさしぶりに香水をつけた。
今日は一日家にいて、夫も帰らないから。
夫はアロマテラピーを嫌がらないが、香水が好きではない。
結婚してから、香水を使うことは滅多になくなった。

今朝、秋の気配を感じて、ふとこの香りを思い出した。
つけてみて、理由がわかった。
トップノートにジャスミンが混ざっている。

ジャスミンはどちらかと言えば夏の花。
それでもなぜか、ジャスミンの息苦しいような甘い香りをかぐと、わたしは秋を思う。
解放的というよりは静謐、日差しというよりは記憶の香り。



森茉莉の「貧乏サヴァラン」を読む。
(このひとの名はジャスミンの漢名だ)
東京、淡島にひとりで住まうマリアのご馳走は、ダイヤ氷。慎重にいれたリプトンのティーバッグ。ウェファース。英国のビスケット。卵料理に、薔薇の砂糖菓子。
独特の美意識と味覚によって選び抜かれた、目にも舌にもおいしいものたちが、次から次へ登場する。
読んでいるとおなかがすく…というよりも、何か恍惚としてくる。
王女の部屋の前に立って、その豪奢な調度品を見せてもらっているみたいだ。
料理と食べものについて書かれているのに、美と人生について読んでいるような心もちがする、ふしぎな随筆集。



小川洋子「余白の愛」。
耳を患い、夫に離婚を申し渡された「わたし」と、美しい指を持つ速記者「Y」の物語。
小川洋子さんの小説、特に初期の作品は、ほんとうにていねいに、一行も気を抜かず時間をかけてつむがれている。
一糸みだれぬ完璧な緊張感は、読むものに奇妙な安らぎをもたらす。
それは言葉に対する敬意と、徹底して均質な静寂によるものだろう。
この物語にも、ジャスミンの香りが登場する。
ジャスミンの白い花に囲まれて、眠りつづける少年。
それから、「Y」が「わたし」のために特別にブレンドしてもらった香水も。
詳しいことは書かれていないから、それはどんな香りだろう、と想像してみる。
柑橘系はオレンジスウィートではなく、より繊細なマンダリン、それに全体の香りをしっとりと深めるサンダルウッド、それからもちろん、ジャスミンがふんだんに入っていただろうと思う。


ジャスミンのアロマオイル





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Last updated  2008.09.05 17:45:35
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