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カテゴリ:読書日記
雨。朝市へ出かける。
今朝もぎたて、という風情の、泥のついたピーマン山もり百円。大きさもまちまちで、赤ちゃんみたいなピーマンが混ざっている。かわいい。 枝にぶら下がったままの枝豆、ひと抱え二百円。家に帰って新聞紙の上に広げ、ひとつずつ茎からはずす。25センチのボウルに山盛りとれた。 洋梨や桃、ぶどうもおいしそうな香りをふりまいていて、あれもこれも全部ほしくなるのだけどふたり暮らしでは食べきれないから、よく吟味して「幸水」梨を2玉買う。 収穫の秋。 村岡恵理「アンのゆりかご」を読む。 著者は「赤毛のアン」シリーズを翻訳した村岡花子の孫。 村岡花子の生涯が、愛情をこめて、しかし適切な距離をとって描かれる。 赤毛のアンのイメージから、村岡花子についても「ミッションスクールを卒業した、お金持ちのお嬢さま」というイメージを勝手に抱いていたので、読みすすめながら発見の連続。 父の強い希望で東洋英和に入学した彼女が、なぜ寸暇を惜しんで誰よりも勉強したか。 文学への強い憧れ。情熱的な恋。そして戦争の暗い影。 良質な小説を読むような思いでページをめくる。 印象に残ったのは、村岡花子がプリンス・エドワード島を訪ねることがないまま、その生涯を終えたというくだり。 映像が目の前に広がるようなあの生き生きした訳文が、取材なしに書かれたのは驚きだ。 原文の魅力ももちろんあるだろうけれど、村岡女史のカナダを愛する気持ち、何よりも想像力の豊かさが名訳を生んだのだろうな。 机に向かって目をつむるだけで、世界中、宇宙の果てまでも旅することができるのは、ヒトに与えられた最高のぜいたくのひとつだ。 それから女学校時代の花子が、東洋英和のすばらしい図書室で読書にめざめ、カナダ人宣教師や級友との出会いを通して文学に導かれてゆく場面。 ついつい自分の高校時代に重ね合わせ、うっとりと読んだ。 あの、図書室。背の高い書架のならぶ居心地のいい図書室が、わたしをここまで運んでくれた。 子供のころ夢中になった赤毛のアン、また読み返してみようかな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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