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カテゴリ:読書日記
週末。ひさしぶりにちょっとおめかしして、お気に入りのバーへ行く。 体調を崩して1ヶ月おくれになったけれど、結婚1周年のお祝いもかねて。 15人入ったら肩が触れあうような小さな店。 いつもは2、3組しかお客さんがいないのに、今夜は満席。 小さなジャズライブがあるみたい。 くまが早くから予約をしてくれていたので、カウンターのいい席で聴く。 ていねいにつくられたおいしいカクテルとオードブルをいただきつつ、音楽に身をまかせる。 考えてみれば、外でお酒をのむのも、ライブもひさしぶり。 3日と空けず居酒屋やらバーに立ち寄り、月に2、3回ライブに通っていた時期も、それはそれでもちろん楽しかったのだけれど、そういう愉しみを「たまに」とっておくのもいいものだな。 ほろほろ酔いをさましながら、秋の夜道を歩いて帰るのも気持ちがいい。ごほうびの時間。 堀江敏幸「雪沼とその周辺」を読む。 「雪沼」という土地をめぐる人びとの、日常とささやかな非日常を切り取った短編集。 大事件が起こるわけでも、感動の結末があるわけでもないが、時間をかけて心にしみてくる物語たち。 ああ、好きだ。この人の日本語。かすかに翻訳調の香りがする。そしてこの上なく端正。リズムが心地よく、決して不快にならない順序で言葉が並んでいる。いつまでも読んでいたい。 印象に残ったのは冒頭の「スタンス・ドット」。 今日で店じまいをするという場末のボーリング場、リトルベアボール。 補聴器をつけた店の主人。そこへたずねてくるひと組の若いカップル。 たしかに日本の物語なのに、アメリカの田舎町の雰囲気がただよう、静かな小説。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.09.10 08:20:41
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