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カテゴリ:読書日記
池澤夏樹「きみのためのバラ」読む。 世界中、さまざまな場所を舞台につむがれる短編集。 それぞれの土地の空気が物語ひとつひとつに閉じこめられて、写真集を眺めたような読後感。 このひとの言語感覚は、硬質で透明。 「20マイル四方で唯一のコーヒー豆」なんて、タイトルだけでノックアウトだ。 表題作「きみのためのバラ」。ウナ・ローサ・パラ・ティというスペイン語のひびきがすてき。「これから百年でも忘れないという気持ちで彼女の顔を見て」という一文にぐっとくる。それって恋の本質だよなあ。 それにしても、これだけ多彩な語り手を持つ小説を、それぞれに合う自然な文体で書きわける技のあざやかさよ。おそれいりました、という感じ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.10.24 19:32:55
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