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カテゴリ:読書日記
大腸内視鏡検査というものを受ける。
体の中に管が入っているって…ほんとうに変な感じ! 詳しくは書きませんが、検査そのものより、腸の洗浄が試練だった。 女としてひと皮むけたかと思うほどの衝撃。 ちなみに結果は「異常なし」でした。ほっ。 マシュー・スケルトン「エンデュミオン・スプリング」を読む。 本と図書館をめぐるファンタジー。 はじまりは15世紀のドイツ。 印刷工場とおぼしき場所が「グーテンベルク親方」の工房だと明かされた時点で、完全にノックアウト。身も心も物語に引き込まれる。 もうひとつの舞台は、20世紀のイギリス、オックスフォード。巨大な図書館と、地下に広がる本の回廊。知の迷宮だ。 主人公の少年ブレークが、選ばれし者しか読むことができない空白の本「エンデュミオン・スプリング」に出会うところから、物語が動きだす。 本好き、活字好きにはたまらない舞台設定で、ストーリー展開も巧み。ファンタジーとしてはもちろん、大人向けのミステリーとしても上質だ。ぐいぐい読ませる本物の力を持っている。 一冊の本を異界との出入り口にしたファンタジーには、たとえばエンデの「はてしない物語」がある。 小さな扉の向こうには、想像の国ファンタージエンが、文字通りはてしなく広がっている。 主人公バスチアン・バルタザール・ブックス(Bが3つ。一度聞いたら忘れられない名前だ)は、異世界を通り抜けることでひとつの通過儀礼を終え、ひと回りもふた回りも大きくなって「こちら側」へ戻ってくる。 本の世界にどっぷりひたるよろこび、読書の快楽を心ゆくまで味わえる傑作だと思う。 「エンデュミオン・スプリング」も、題材の魅力は超一級。 だからこそ、印刷術のあけぼの、魔術や錬金術が入り乱れる500年前の世界を、この作者の筆でもっとのぞかせてほしかったなあ、と思う。 扉を開けた少年が、そこで何を見、何を学ぶのか。もっと読みたかった。 ほかにも、フスカと契約を結んだグーテンベルクのその後や、42行聖書の神秘。フスカの弟子ペーターのはたらき。最後のページを閉じてしまった後も、知りたいことがまだまだ残っている。 あるいは期待を持たせておいて、続編につなげるという作戦なのかしらん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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