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テーマ:本のある暮らし(3316)
カテゴリ:読書日記
肌ざむい朝。
紅茶をのみ、誕生日に妹が送ってくれたやわらかいブランケットにくるまって、机に向かう。 朝8時から、NHK-BSで「私の1冊 日本の100冊」という番組を放送している。 毎朝、10分間で1冊の本が紹介される。 100人のゲストが、それぞれ思い入れのある本について語るのもおもしろいし、映像と共に本の一説が朗読されるのも、目ざましにちょうどいい。それで、忘れなければ毎朝みている。 このあいだは、生物学者の福岡伸一さんが、須賀敦子「地図のない道」を紹介していた。 録画もしていないから間違いがあるかもしれないが、福岡氏が語ったのはだいたい以下のような内容だった。 子どものころ、ぼくは昆虫少年だった。そして、生物学者になった。 昆虫少年、あるいは生物学者というのは、生命がもつ秩序の美しさにひかれるものだ。 須賀敦子さんの文章にも秩序がある。建築のような構造がある。それがゆらぎながら、さまざまな情念をかもし出している。 著書の中で、須賀さんは宗教について直接にはふれていない。 しかし「地図のない道」のラストでは、宗教に対して彼女なりの細い橋をかけているように思う。 そんなことを、もっと硬質で、もっと端正な、もっともっと文学的な言葉で語っていた。 びっくりして、いっぺんに目がさめた。 なんだなんだ、この人は。 生物学者? ほんとうに? 小説家じゃないの? 調べてみると、福岡さんは「生物と無生物のあいだ」という本で、すでにいくつかの賞を受賞していることがわかった。 さっそく取り寄せて、ページをめくる。 まだ読みはじめたばかりだが、最初の数ページで、これは読み終わるのが惜しい類の本だと直感した。 そういう本は、重度の活字中毒患者でも、年に3冊、いや、2冊見つかれば恩の字。という貴重な出会いなのだ。 とにかくじっくり読んで、読み通したらまたここでご報告します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.11.17 14:00:40
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