596146 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

本読みのひとりごと

本読みのひとりごと

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Free Space

読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

Profile

biscuit5750

biscuit5750

Comments

biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
biscuit5750@ Re[3]:子どもを持つことの不自由と、自由(11/17) >バーソロミューさん お久しぶりです! …

Rakuten Card

Archives

2024.11
2024.10
2024.09
2024.08
2024.07

Category

2008.12.20
XML
カテゴリ:読書日記


ジュンパ・ラヒリ「見知らぬ場所」(新潮クレストブックス)を読む。
これまでインドとアメリカに絞られていた物語の舞台が世界中に広がり、主人公たちはローマへ、タイへ、縦横無尽に旅していく。ジュンパ・ラヒリ、新境地。
空間が広がり、時間軸が後の世代まで押しひろげられたことはまちがいないが、作者が扱うテーマの基本はあまり変わっていないという印象を受けた。
父、母、子、あるいは周りの環境の変化がもたらす微妙な「ゆらぎ」を、ジュンパ・ラヒリは彼女独特の視点で見つめ、切りとってみせる。
主人公たちは変化に抵抗したり、無理に飲み下そうとしてその苦さに顔をしかめたりする。
それでもいつか、ひょっとするといつの間にか、変化した家族や環境が、「現実」そのものに変わる日がくる。
変化に向かい合ったヒトの対応は「受け容れる」「拒絶する」という二者択一の単純な文法で語れるものではない。その、本来は言葉にできない心のうごきを、ジュンパ・ラヒリは小説の形式を借りてすくいとろうとしているようにみえる。

印象的なのは、終盤の連作。へーマとカウシクというどこにでもいる、しかし世界のどこにもいないひと組の男女が主人公だ。
舞台も、主人公も文体も異なるふたつの物語が交差して、そこからまたもうひとつの物語がはじまる。
物語が生まれる瞬間を目撃することのできる、稀有な短編集だ。



停電の夜に


その名にちなんで





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.12.24 11:18:22
コメント(2) | コメントを書く
[読書日記] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X