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カテゴリ:読書日記
森絵都「ラン」を読む。 去年の夏から、ずっと図書館で順番待ちをして、ようやく回ってきた。 読みたい小説、本屋さんで買ってしまえば早いけれど、「読みたいなあ」と思いながら待っている時間もまた楽し。 ひとりぼっちの22歳、夏目環(たまき)が一台の自転車に出会うところから、物語がはじまる。 思いもよらない理由から、自転車を降り、二の足で大地を蹴って走りはじめる環。 走ることが、自分の殻にとじこもっていた環の毎日に、小さいが確実な変化をもたらしてゆく… 森絵都がつむぐ物語には、血の通った、生身の人間がいる。 生きることはかっこわるくて、ちっちゃなことに腹を立てたり、うらんだり、ねたんだり、ささやかな欠点を気にかけてくよくよしたり。 それでも生きてゆくんだ、生きていこうと背中を押してくれる素敵な物語。 ハードカバーで460ページ以上あるけれど、読みやすい文体なのであっという間に読み通せます。 最後のページを読み終えて本を閉じるときには、この不完全でどうしようもない世界が、少し明るく、そして愛おしく見えるようになっているはず。 寒い冬からあたたかい春へ、ちぢこまった気持ちを外へ広げたい方におすすめです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.02.23 20:49:28
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