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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
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2009.08.07
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カテゴリ:読書日記
ユリ

すこし前ですが、仙台文学館に、井上ひさし展を見にゆきました。
(現在は会期を終了しています)
井上ひさしは個人的に思い入れのある作家で、彼の作品を読むと、すべての始まりだった高校の小さな図書室を思い出します。なつかしい。

 *

仙台文学館は、車やバスもびゅんびゅん通る幹線道路ぞいにあって、着くまでは「いったいどんなさわがしい場所なのだろう…」と思うけれど、道案内にしたがって細いわき道へ入った瞬間、うそみたいにしんと静かになる。
緑に囲まれた、すてきな散歩道があらわれる。

その道をのぼってゆくと、こじんまりした森のコンサートホールみたいな建物があって、それが文学館。
ちなみに井上ひさしは、この文学館の初代館長でもあります。

だから…というわけではないだろうけど、展示も愛と親しみに満ちた、あたたかい雰囲気のものでした。
作品について解説してくれた若い女性の学芸員さんは、とてもかわいい感じの人で、ほんとうに嬉しそうに説明をしていて、本と作家への敬愛が全身からにじみ出ていた。
聞いているこちらが嬉しくなってしまうくらい。

展示は「吉里吉里人」の世界観を再現したものが中心。
展示スペースはけして広くないけれど、くすりと笑いたくなるような楽しい仕掛けがあちこちに。

ほかに心に残ったのは、戯曲の登場人物の年表。おどろくほど細かく几帳面な文字で、びっしり書きこまれている。
それから、栄養ドリンクの空き箱で作った紙人形(これを動かしながら戯曲を組み立てるんだそう。どこかストリップ劇場の看板を思わせるのは、たぶん、作家が浅草フランス座でキャリアをスタートさせたことと無関係じゃない)。
原稿用紙のます目にきっちりと収まった、意外に丸っこい万年筆の文字。

膨大な資料にあたり、手間ひまをかけてリアリティを追求し、一文字ずつ言葉を刻む。
遅筆堂」なんて茶化しているけど、速く書けるはずないよなあ、これは。
ぎりぎりまで言葉ひとつもあきらめない、接続詞ひとつおろそかにしない、そういう姿勢で作品に向かったら、いくら時間があったって足りないに決まっている。

 *

作家の頭のなかに広がる小宇宙を垣間みせてもらったような、満ち足りた気持ちで家路につく。
実はこの冒険にはつづきがあるのだけど、ずいぶん長くなってしまったのでまた明日。







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Last updated  2009.08.07 15:03:50
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