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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
biscuit5750@ Re[3]:子どもを持つことの不自由と、自由(11/17) >バーソロミューさん お久しぶりです! …

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2009.12.01
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カテゴリ:読書日記
秋空

干し終えたばかりの洗濯物を朝日に透かして見たら、
セーターの肩のところからもわーと白い湯気が上がっていた。
外気温はたぶん5度くらいしかないのに、太陽の力はすごい。
朝日にかがやく湯気のつぶがあまりきれいで、しばし見とれる。



佐藤初女さんの「こころ咲かせて」を読む。
この本を読んでから、おにぎりを作るひとときが魔法の時間になった。
お米がふっくら炊き上がったら、粗熱をとる。
やさしくお茶碗に盛ったら、あまり水を使わず、手に塩をつけてしばらく待って、出てきた水分でリズムよくにぎる。
熱いけれど、たなごころをきちんと使って、心をこめる。
(書きながら思ったけど、「たなごころ」っていい言葉だなあ!)
そうすると、外はしっかり、中はふわっと、ごはんつぶがこわれずに、塩気がちょうどよく、時間が経ってもおいしいおにぎりができる。

何も言わず食卓に出してみる。
いつもどおり無言でほおばったくま、ふしぎそうに食べかけのおにぎりを見つめて、「何か変えた?」だって。
むふふ。魔法をかけたのよ。

青菜を茹でるときは、鍋に入れたら目をはなさず、そばについている。
じーっと見ていると、初女さんの言うとおり、青菜の色がぱっと鮮やかになる瞬間があるから、そこですばやく引き上げる。
今まで、茹でた青菜は何でもかんでも冷水でしめていたけれど、この方法だと、ざるにとってそのまま冷ましてもあまり色が褪せず、和えものにするときなど水っぽくならない。
歯ごたえと、野菜の香り、生命力がうしなわれずに、おいしくいただける。

初女さんは1921年に青森県で生まれ、岩木山の麓で、「森のイスキア」という場所をひらいている。
「イスキア」は、心が疲れた人がいつでも訪れて、初女さんが心と手間を込めたお食事をいただくことのできる、夢のような場所です。
キリスト教徒でもある初女さんの言葉は、その食卓と同じように、心をこめてひとつずつていねいにつづられていて、読みすすめるごとに心が透明になるような浄化力がある。
巻末におさめられた河合隼雄先生との対談も、大事なことが次から次へと惜しげもなく語られていて、しみじみといい。

実は何年も前から、この本はわが家の書棚にあって、けれど長いあいだ手にとらずにいた。
読み終えた今は、「もっと早く読んでおけば!」と思うけれど、わたしにとっては、今が初女さんの言葉に出会うタイミングだったのかもしれない。
心をこめて料理をすることの楽しさ、大切さを忘れそうになっていると気づいたら、何度でも手にして読み返したい一冊。





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Last updated  2009.12.01 08:12:17
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