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カテゴリ:読書日記
雪が舞いはじめました。
と言っても、冬の日本海特有の、たっぷり水をふくんだ大つぶの雪じゃなく、雪の子どもみたいな、小さくてあわあわした、はかない雪。 根雪にならず、日が差してくると融けてしまう。 2、3日前から曇り空がどんどん低くなってきて、そろそろかなあと予感はあったのだけれど。 空が雪の重さを支えきれなくなって、とうとうつないだ手をはなしてしまった、という感じ。 ジョギングで民家の前を通るたび石油ストーブのにおいがして、ああ冬がきたなあ、と思う。 週末はくまの誕生日。 今年はレアチーズケーキを作りました。 ハチミツレモン風味のビスケット台とチーズ生地の間に、甘さひかえめに煮つめておいたブルーベリージャムをはさむ。 くまは口の周りの毛皮をチーズだらけにして、夢中でがふがふ食べていた。 家でつくるケーキの魅力は、けちけちせずに新鮮な材料をたっぷり使えること。 それから、「おかわり自由」なところ。 ばななさんの「ごはんのことばかり100話とちょっと」を読む。 タイトルの通り、ばななさんが日々の暮らしの中で見つけたごはんにまつわるエピソードがたくさん詰まっていて、ページをめくるごとに元気が出る。 「田舎の不便さとか、閉塞感とか、そうしたものをたったひとつおぎなうのは自然のすばらしさ」というくだりに深くうなずく。 安くて新鮮な食材が身の回りにあふれていて、窓を開ければいつでも四季おりおりの美しい景色に出会え、水と空気がおいしくて、車で10分走れば300円で天然温泉に入れる…というシアワセの前では、欲しいものがすぐに買えないとか、おしゃれな喫茶店が少ないというようなことが、とても小さく思えるのです。 最近の、「なんでもかんでもていねいにやる」風潮についての文章も、体の深いところに入ってきて、気持ちが軽くなるようだった。 家事は、おもしろい。 どこまでも奥が深いし、先輩の知恵を学ぶ愉しみもある。 一見同じ作業のくり返しにみえても、一日として同じ日はなく、自分に返ってくる感動はつねにあたらしい。 ひとつひとつの喜びは小さいが、確実に積み重なって、自分の土台石になる。気持ちの安定をかたちづくる。 とはいえ、完璧をもとめるあまり、やりたいことをする時間がなくなり、いらいらして家族に八つ当たりするのは(少し前のわが家でときどき見られた光景です…)、何だかちょっとちがう気がする。 何もかも手作りでナチュラルじゃなくても、便利なものは上手に利用しつつ、楽しめる範囲、見返りをもとめずにいられる範囲で気持ちをこめてやる、というのがいいんだろうな。 何よりも大事なのは、自分と家族が幸せを感じて生きること。 ほかにも、ばななさんのお姉さんのコロッケレシピ(24.5個分!)が紹介されていたり、 日々のごはん支度と小説を書くことの共通点に「ほほう」とうなったり、 盛りだくさんの内容で、どこから読みはじめてもおもしろいし、何度読み返しても飽きない。 食いしん坊さん、料理好きさんにおすすめのエッセイ集です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.12.17 13:06:09
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