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テーマ:暮らしを楽しむ(388255)
カテゴリ:読書日記
寒中お見舞い申し上げます。 寒い日がつづきますが、皆さま、いかがお過ごしですか。 年末から年明けにかけ、外に出て人と会う機会が多かったので、ここ数日は家にこもり、窓の雪を眺めつつこたつで書きものなどしています。 * 夕方、ごはんを作りながらテレビを見ていたら、時計台のねじを巻く職人さんのことを取り上げていた。 九十年前に建てられた、煉瓦造りの旧県庁のてっぺんに、その時計台はある。 5日に一度、柱と梁が複雑に入り組んだ屋根裏の通路を通って時計台の内側へ入り、職人さんはねじを巻き上げる。 時計職人以外、ほとんど誰の目にも触れることがないはずのその仕掛けは、実用的なだけじゃなく、芸術品のように美しい。 ねじを巻く職人さんの横顔には、手から手へ受け継がれてきた道具を扱う人の誇りと輝きがあって、何だか泣きそうになってしまった。 百年残ってゆくものが、わたしの周りにいくつあるだろう。 百年後の人に手わたすつもりで、つむいだり暮らしたりすることを、今年は意識してみようと思う。 * 車で長距離を移動するとき、いつもは音楽を聴くのだが、先週末はくまの発案で、図書館のCDブックを借りた。 夏目漱石「坊っちゃん」(新潮社)。 誰かに物語を読み聞かせてもらうなんて、考えてみたら、大人になってからは初めてかもしれない。 俳優さんが、よく通る声で、ゆったりと読み上げる小説の世界は、目で活字を追いかけるのとは違う、ふくよかな広がりがある。 言葉のひとつずつが際だって、文体が体に染み込んでくるよう。 それにしても、「坊っちゃん」がこんなに笑える小説だったなんて! 文章の「リズム」って、小説にとってほんとに大切な要素なんだなー。 活字で読んでいるときには気づかなかった、新しい魅力。 サービスエリアで車を停めても、続きを聞きたくて、なかなか車から降りることができないほど。 車を運転しているときだけじゃなく、台所に立っているときや、走っているときにも本を「読む」ことができるのは嬉しい。 CDブック、冬の新しい愉しみになりそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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