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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
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2010.04.02
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カテゴリ:おしごと日記
梅一輪

雪国に来たころからこつこつと書いていた物語が旅立ってゆく。
一緒にすごした時間が長いほど、その世界や登場人物との別れもつらい。

印刷したぶ厚い原稿を、くまに読んでもらう。
こちらに背中をむけて、こたつで読んでいる顔を何気なくのぞきこんだら、静かに涙をぬぐっていた。
ああ、むくわれた。と思った。
まず、ひとりの人に伝えること。
すべてはそこからはじまる。

 *

あたらしい仕事にも、少しずつ慣れてきた。
本をどっさり抱えて一日じゅう走りまわるので体は疲れるが、返ってきた本を棚に戻していると、力がわいてくるのを感じる。
棚のすみに埋もれた本を目立つ場所にならべ、テーマを決めポップをつけておすすめする仕事がとても楽しい。
出勤して、おすすめした本が借りられているのを見つけると、スキップしたいような気持ちになる。

図書館って、本を借りたり返したりするだけの場所と思っていたけれど、ほんとうにいろんな仕事がある。
ベテランの先輩は、「のっぽさん」みたいな手つきで、色画用紙やダンボールを切ったり貼ったりして、魔法のように館内を飾りつけてしまう。
ボランティアのおばあさんが絵本の読み聞かせをはじめると、大泣きしていた赤ちゃんがぴたっと静かになる。
あたらしく入ってきた本にクリアカバーをかける作業は、空気が入らないように、息をつめ集中してやるのがコツ。

つとめ先に本があると、出かけるとき本を持たないですむから、かばんが軽くなったのも思わぬ効用。
仕事の休み時間や、終わった後にささっと本を選んで、自分で貸し借りの手続きができるのもうれしい。
家のほかにもうひとつ、自分の本棚があるみたい。

幼いころから何よりも本が好きで、最高にわくわくする場所は図書館だった。
「図書館ではたらく」という選択肢にもっと早く気づけよー! と思春期の自分に突っ込みたくなるけれど、たぶん、これでいいんだろう。
具体的な仕事内容の面でも、抽象的な意味でも、前にやっていたことがむだになっていない、自分の中に生きている感じがする。

くまと暮らして、わたしは以前より、自分がやりたいことをはっきり見きわめられるようになった。
こわい気持ちが消えたわけじゃないけど、失敗してもいいから、好きなことにむかって情熱を注ごうと思える。
帰る場所と自分を結ぶロープが強くて太いほど、人は遠くまで旅ができる。





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Last updated  2010.04.02 11:12:17
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