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カテゴリ:旅日記
週末、青森へ行ってきました。 小さな文学賞で佳作をいただいて、その表彰式があったのです。 同じ雪国でも、わたしの住む町から青森へは、ずいぶん遠い。 バスと電車を乗りついで4時間。 駅から会場のホテルまで、さらに1時間山をのぼる。 標高が上がるにつれ、道の両側に、地層みたいな雪の壁があらわれる。 その奥に、ブナの林がどこまでもつづく。 しんとした美しさに口をあけて見とれ、写真を撮るのも忘れてしまった。 表彰式の前、係の人が、胸にりんごの花のコサージュをつけてくれた。 白い可憐な花がふわりと香る。 パーティで、そのコサージュを作った女性と話をする機会があった。 はなやかな雰囲気に自分を馴染ませられずにいるわたしに、さりげなくやさしい言葉をかけてくれた。 ちょっと涙が出るかと思った。 そっと寄り添ってくれるお花みたい。 やわらかな空気をまとったやさしいひと。 緊張やらで、豪華なお料理も少ししか食べられなくて、コンビニでおにぎりと春雨スープを買ってホテルに着いたら、フロントのお姉さんが、「会員になった方が宿泊料金がお得ですよ」と言う。 せっかくだから…と申込書を書いて手渡すと、お姉さんが「あっ」という顔になる。 「どうしたのかな」と思っていたら、お姉さん、声をひそめて「誕生日がまったく同じです」。 11月7日。だけではなく、生まれた年まで同じだったのでした。 「ええっ! では29歳さそり座ですね!」などと盛り上がっているうちに何だかほっとして、ようやく緊張もとけてきた。 神さまが、気のきいた偶然を用意して、「今日は一日お疲れさま」と言ってくれているみたい。 お湯をわかして春雨をすすり、きりきりする胃をおにぎりでなだめ、シャワーを浴びてベッドにもぐりこむ。 いただいた花束の、百合と薔薇の香りにつつまれ、茨木のり子さんの「汲む―Y.Yに―」という詩の言葉を子守唄がわりに頭の奥でゆらしながら、だんだん眠りに落ちる。 同じ日に生まれた女の子が、同じ屋根の下にいるなんて愉しいな、と思いながら、夢もみないでぐっすり眠る。 入賞した小さな物語は、今年の秋か冬ごろ雑誌に掲載されたのち、来年春に作品集として出版されるそうです。 詳細は決まりしだい、このブログでお知らせします。 もう少し早く読みたいと思ってくださる方、お名前とメールアドレスをお書き添えのうえ、メッセージをいただければ幸いです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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