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カテゴリ:読書日記
森見登美彦「ペンギン・ハイウェイ」を読む。 ああ! おもしろい。 どうしたらこんな小説が書けるんだろう、ほんとうに。 森見さんの小説は、文体そのものが快楽なので、いつまでも読み終えたくない。 けれど、ストーリーもなかなかにスリリングなので、早く先を知りたい。 それで、文章をひとつずつゆっくり読みたい気持ちと、どんどんページをめくりたい気持ちのあいだにはさまれて、活字中毒者なら誰でも知っている、あのうっとりするような悩ましさを味わうことになる。 「ペンギン・ハイウェイ」には、大学生が登場しない。京都が舞台でもない。 郊外の住宅地に暮らす、たいへんに頭のいい小学四年生、アオヤマ君が主人公である。 アオヤマ君は小学生ながらいくつもの研究を抱え、それぞれの研究について、毎日きちんとノートをつけている。 ブラックホールの謎に挑む友人のウチダ君、チェスの上手なハマモトさん、スズキ君帝国皇帝のスズキ君など、脇をかためる同級生たちも魅力的。 歯科医院のお姉さんもステキなら、アオヤマ君のお父さんは、ちょっと恋をしてしまいそうなくらいかっこいい。 時間をかけてゆっくり読みすすめるつもりだったのに、中盤から止められなくなって、あっという間に読み終える。 読んだあと、何か涼しい風が心を吹き抜けたようなすがすがしさをおぼえる。 重い読後感ではないのに、時間が経っても「ペンギン・ハイウェイ」の印象はうすれることなく、しみじみと「おもしろい物語だったなあ」という思いが強くなる。 森見さんの新境地、今度こそゆっくり、深呼吸して頭から読みなおそう。 * 森見さんの文章にすっかりとりつかれてしまい、かれのブログと、amazonで連載している『熱帯』もむさぼり読む。 (amazonの「文学・評論」カテゴリー右側、「MATOGROSSO(マトグロッソ)」のバナーから入れます。直接リンクは貼れないようになっている。同じコーナーには、わたしが青春?をささげた菊地さんの連載も!) それで今は、連載で取り上げられている佐山尚一『熱帯』という本を読みたくて、読みたくてたまらない。 amazonの商品紹介ページにも、表紙の写真が掲載され、森見氏のものとおぼしきみじかいレビューがついているけれど、現在購入はできないらしい。 近隣のどの図書館にもないことは、職権を濫用して調査ずみ。 明日にでも神田の林に駆け込みたい…と隔靴掻痒の思いを味わいながら、どうもようすがおかしいと気づく。 これはもしかして…もしかして? とにもかくにも、森見氏の『熱帯』を注意ぶかく読みつづけるしか、今のところできることはないのでありました。ああ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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