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カテゴリ:読書日記
8月8日、3回目の結婚記念日をむかえました。 ささやかな肴をならべて家でビールをのみ、前日に作っておいたレアチーズケーキでお祝い。 翌朝、ほんとうは登山をするつもりだったのだけれど、あまりに暑いので秋に延期することにして、車で蔵王のお釜(火山の火口湖)を見にゆく。 着いた当初は霧がかかって何も見えず、「この涼しさを味わえただけでも来た甲斐があったことだよ」となぐさめ合っていたら、すーっと霧が晴れて、エメラルドグリーンの湖が姿をあらわした。 天候や季節によってさまざまに色を変えるという神秘の宝石を、4年めのはじまりの記念にそっと胸にかざる。 結婚をして、わたしは長生きしたいと思うようになった。 この世界の美しいもの、ひとつでも多く、くまと一緒に見てみたい。 重松清「青い鳥」を読む。 部屋にひとりでいたのをいいことに、読みながら、声を上げて泣いてしまった。 中学校で国語の非常勤講師をしている村内先生は、言葉がつまって滑らかに話せない。 だから、村内先生は大切なことしか言わない。 そして、先生は誰よりもすてきに笑う。まぶしいような、なつかしいような笑顔で。 何よりも、本当にそばにいてほしいとき、村内先生はかならずそこにいて、静かに寄り添ってくれる―― 自分の弱さを隠さずに、傷つきながら生きている人はすてきだ。 かっこわるくても、自分の傷より、誰かの気持ちに寄り添うことに一生けんめいになれる人は、もっとすてき。 読みながら、村内先生に恋しそうになった。 わんわん泣きながら、過去の傷がやさしく癒されて、読み終えたあと、雨上がりの空みたいに心がさわやかに晴れ上がる、すばらしい小説。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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