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カテゴリ:読書日記
いよいよおなかが大きくなってきました。 ゆっくり、少しずつしか動けないので、自分のからだとちびくまのペースに合わせて、ゆっくり、ゆっくり暮らしています。 朝のすずしいうちにちょっとだけ近所をさんぽして、午後は昼寝。夕食の支度の前にヨガをするのが、最近の日課。 ちびはもう、生まれても自分で生きていけるくらいの大きさになって、毎日元気にしゃっくりをしたり、手足をうーんと伸ばしたりして過ごしているようです。 これからいろんな楽しみがあるだろうけど、おなかの中で人が育っていくという種類の楽しみは、ほんとにあと少しだなー。 エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』を読む。 気分屋で直情的、思ったことをそのまま口に出さずにいられない、元数学教師のオリーヴ・キタリッジ。 13の短編を積み重ねるかたちで、オリーヴと、アメリカ郊外の町に暮らす人びとの人生が浮かび上がってくる。 どの物語にもオリーヴが登場するけれど、そのすべてにおいてオリーヴが主人公というわけではない。 ざくざく編まれた麻の敷布みたいな、雑多な町の人間模様の中に、オリーヴも一本の毛羽立った糸として織りこまれている。 読みながらずっと思いうかべていたのは、映画「かもめ食堂」に出てくる「コスケンコルヴァ」のおばあさん。 あの不機嫌そうな顔、骨太な存在感が、オリーヴのイメージに重なった。 簡潔で味のある物語をひとつずつ読みすすめるうち、あまのじゃくで愛想がない、だけどほんとは不器用で純粋なオリーヴを、だんだん好きになっている自分に気づく。 読み終えてふーっとため息をついた後、もう一度最初から読み返したくなる良質の短編集。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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