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カテゴリ:読書日記
くまが帰ってきた。 地震のあと、仕事のつごうで、離れて暮らしていたのです。 けっこう平気なつもりでいたけど、そばにいてくれるとやっぱり安心。 頭で考える前に、体がふーとゆるんでいく。 家族が毎日一緒に暮らせるのは、それだけで奇跡。かけがえのないことなのでした。 くまの留守中、心ぼそさを感じるたびに、ちびくまがもぞもぞ動いて、小さな灯りをともすみたいに勇気づけてくれた。 里帰りはしない、ここで産むと決めたのは自分なのに、すぐ動揺するし心配性もあいかわらずで、ちびもおなかを蹴とばしながら「お母さんしっかり!」って思ってたんじゃないかな。 今はただ、わたしたちのところへ来ることをえらんでくれてほんとうにありがとうという気持ち。 出産予定日まで、あと3日です。 石田千「店じまい」を読む。 おでん屋さん、ケーキ屋さん、焼き鳥屋さん… わけあって店じまいする街角の小さなお店の記憶が、石田さん独特の、むだのない文体でぽつぽつと語られる。 もう戻れない、記憶の中にだけ存在する場所について語らせたら、この人の右に出る書き手はそういない。 感傷におぼれない、淡々とした語りくちだからこそ、読む者の胸に、知らないはずの風景がなつかしくうかぶ。 いつか見た景色への郷愁がよみがえる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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