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本読みのひとりごと

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読むこと、書くことが大好きなbiscuitです。
夫、元気すぎる2人の息子と4人暮らし。

新聞記者を経て、フリーランスライター/エディターに。

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biscuit5750@ Re[1]:木々との対話(09/12) >micoさん こんにちは!すっかりご無沙汰…
mico@ Re:木々との対話(09/12) bisさん、こんにちは。まずは次男くんのご…
biscuit5750@ Re[1]:さようなら、クウネルくん(01/27) >micoさん お久しぶりです! コメントを…
mico@ Re:さようなら、クウネルくん(01/27) クウネル。新装された表紙を見てお別れし…
biscuit5750@ Re[3]:子どもを持つことの不自由と、自由(11/17) >バーソロミューさん お久しぶりです! …

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2012.12.28
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カテゴリ:読書日記
伊勢神宮

とても長いあいだごぶさたしてしまいました。
年の瀬を、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

わが家は夏にぶじ引っ越しをすませ、あたらしい街での暮らしにもようやく慣れてきました。
友達も、お気に入りの場所もできました。

ちびくまは1歳4ヶ月になり、とことこ歩きまわったり、名前を呼ぶと手を上げてお返事したり、自分でスプーンを持ってごはんを食べたり(まだまだ失敗も多いですが)、できるようになりました。

伊勢の神木

クリスマスは、家族で伊勢神宮へ。
ずっと行きたかった場所なので、本当に楽しみにしていた。

宇治橋をわたったとき、ああ、ここはふだんわたしたちが暮らしている場所とは別の世界なんだ、と感じた。
参道には、年とった神さまみたいな木が無雑作にたくさん生えていて、歩いているだけで、背筋から頭のうしろあたりがすーっとするような、笑い出したくなるようなすがすがしさ。
現世に生きる悩みも迷いもなくなったわけじゃないけれど、すべてひっくるめて、今ここにいる、伊勢の森に抱かれている自分が最高に幸せ、という思いがこんこんとわいてきた。

旅行最終日には、雪国の友に再会。
打ち合わせたわけじゃなく、たまたま同じ時期に伊勢への旅を計画していた。
電車の時間があったから、すこしの時間だったけれど、顔を見て話をして、手のぬくもりを感じて、何だか涙が出そうになった。
この人とは、離れていても、頻繁に連絡を取り合わなくても、特別な約束をしなくても、大事なときにちゃんと会えるようになっている。そういう気がする。

帰り道、宇治山田駅でお弁当を選んでいたら、向こうから、おばあさんとその娘さんらしいふたり連れがやってきた。
「まあ、なんてかわいらしい!」とちびに声をかけてくれて、ちびがにっこり笑い返した。
「あら、笑ってくれたの、ありがとう」とちびの手にチュウをしたおばあさんは、ひょっとしたらすこし涙ぐんでいたかもしれない。
かばんからお財布を出して、「これで何かおいしいものでも食べて」とちびに千円札をにぎらせてくれた。

くまとわたしは仰天して「いやいやいやいや!通りすがりの方にそんなことしていただくわけには!!」とあわてて返そうとしたけど、娘さんがおばあさんの肩を抱くみたいにして、「じゃあね、ありがとう」と急ぎ足で行ってしまった。

わたしたちにはわからないけど、ひょっとしたら、ちびは何か、おばあさんとちびにしかわからない、秘密の言葉を彼女に伝えたのかもしれない、と後でふと思った。




田口ランディ『サンカーラ』を読む。
自分にとって特別になる、ずっと手もとに置いて折にふれ読みかえすことになる本は、手にとって数ページ読んだところで「ああ、そうか」とわかる。
指をはさんだまま本を閉じ、深呼吸する。
特別な出会いを、きっとどこかにいる本の神さまに感謝する。

4章で、自分が人生かけてやりたかったことを思い出し、体がふるえた。

そして震災の後、家族を守らなきゃ…と必死に暮らしていて気づかなかった、というより気づかないふりをしていたが、自分がとても傷ついていたのだと気づいた。
本をひらいたまま、子どもみたいにわあわあ泣いた。
失ったものをなつかしみ、悲しんでいいのだと、ようやく自分に許すことができた。

6章、自然に惚れられた人びとの言葉。
7章、問いを立て、考えつづけることの本当の意味。

魂こめて書かれた言葉が、読み手の奥深くまで届いて、無意識を変容させる。
そういう力のある本だと思う。





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Last updated  2012.12.28 23:52:31
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