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カテゴリ:読書日記
北海道の生まれ故郷に行ってきました。 両親と、わたしたち家族と、妹夫婦の7人で。 どこまでもつづくまっすぐな道路。 高くて大きい空。ゆったりうかぶ雲。 土のにおいのする風。 麦やネギやビーツが植えられた広大な畑。 なだらかな緑の丘。 白樺の並木。 今では実家も関東だし、祖父母が亡くなって訪れる機会も少なくなったけど、 「ふるさとは?」って聞かれたら、やっぱりわたしは、これからも「北海道」って答えるだろうな。 いつも親戚が集まっていたなつかしい伯母の家は、あのころと同じにおいがして、伯父と伯母が変わらない笑顔で迎えてくれた。 変わったのは、伯父の白髪が増えたことと、赤ちゃんだった従兄の子どもが、ちびくまの面倒を見てくれるやさしいお兄ちゃんに成長していたこと。 大切な人の結婚式に出席して、みんなで温泉に入って(母と妹と3人、深夜1時に待ち合わせて露天風呂に入り、長湯していろんな話をした)、本当に楽しい旅だった。 日々の暮らしは楽なことばかりじゃないけれど、地道に前向きにコツコツがんばっていれば、こんなご褒美みたいな時間もある。 流れる時間はとめられなくても、大切な景色や時間を、お守りにして胸に持ちつづけることはできる。 でもいつか、わたしは北海道に住みたいなあ。 どんなに冬がきびしくても、1年の3分の1を雪に閉じ込められても、関東より東北、東北より北海道がわたしは好きみたいだ。 * 最近、こころに残った本。 池澤夏樹『双頭の船』。 冒頭の物語に熊が登場するのは、これは池澤さんの祈りだ。 あの地震のあと、この希望の物語を書かずにいられなかった作家の思いに、涙がとまらない。 ありえないこととわかっていても、だからこそ。 砂漠で水を飲むように、絵空事が必要なときが、人間にはある。 D・ムラースコヴァー/文、出久根育/絵『かえでの葉っぱ』。 金色のかえでの葉っぱが、旅をする絵本。 出久根さんの描くチェコの自然が、涙が出るくらい美しい。 ラストシーンが本当に好き。 ちびに読み聞かせていたはずが、いつの間にか、お母さんが夢中になって読んでいた。 それから夫にすすめられて読んだ百田尚樹『永遠の0』。 「おもしろい」とか「感動した」とか、月並みな言葉では言い表せないほど深いところにずしっと響いた。これはすごい本だ。 決して軽くはないテーマを扱っているのに、読後感の爽やかさは圧巻。 小説の世界に入り込みすぎて、読み終えた日は飛行機の夢を見た。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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