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カテゴリ:読書日記
上橋菜穂子『鹿の王』読了。 ああ、なんて面白いんだろう! ページをめくる手が止まらない。 少しずつ、大切に読み進めるつもりだったのに、上下巻あっという間に読んでしまった。 「守り人シリーズ」や「獣の奏者シリーズ」で、私たちの前に壮大な異世界を描いてみせてくれた上橋さんが、今度は一体どんなテーマを選ぶのだろうと思っていたら、うーん、そう来たか!という感じ。 期待を裏切らないスケール観と、考えぬかれた緻密な世界観。 どのひとりも余すことなく徹底的に掘り下げられた登場人物のリアリティ。 世に「面白い」小説は数あれど、「いつまでも読みつづけたい。この世界から出たくない」と思わせてくれる一冊との出会いは滅多にない。 もちろん最後は号泣したけど、物語に感動して泣いているのか、ヴァンやホッサルとの別れが悲しくて泣いているのか、自分でもわからない。 * ああ、遠いなあ。 目指す頂は遥か頭上、雲海の彼方にある。 生きている間に、たどり着けるかどうかもわからない。 それでも、行かなければならない。 理由はわからない。 物心ついたときから、それだけがただひとつの夢だった。 あまりにも強く思いすぎて、叶わないことがこわくて身動きできないほど。 「もっと楽な道を選んだっていい」と自分をだましても、 その答えに自分が納得しないことは、自分自身がいちばんよく分かっている。 死ぬほどこわいけど、頂上からの景色を見たいなら、自分の足で登るしかない。 山を登るときと同じだ。 息が苦しくても、不安でも、一歩ずつ、順番に足を前に出して行けば、必ずその場所にたどり着ける。 * 中腹の休憩所に着いたら、深呼吸して、もう一度最初から『鹿の王』を読もう。 そのときの自分に必要な言葉に、きっと出会えるはずだから。 読書日記 ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.10.06 15:54:30
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