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カテゴリ:日本の小説
清水一行
『虚構大学』 光文社文庫 「民族意識を貫き、赤い旗を拒絶する大学がどうしても必要です」 学生闘争が吹き荒れていた1965年。日本中の大学が赤く染まっていく中、京都に偏向教育を是正すべく正統な綜合大学が誕生した。これは、戦後の日本を憂いた憂国至情から徒手空拳で綜合大学を作り上げた人々の、実話に基づいた長編経済小説である。 私が通う大学の創設の経緯が、この小説のモデルとなっている。知り合いの大学職員いわく「かなり核心を突いている」。現在の大学をより深く理解するための参考書として非常に面白い。大体の登場人物のモデルはわかったが、一部わからなかった人もいる。 ただ、学祖が非常識で我侭な変人として描かれているのが…。まあ、小説としてあのキャラクターは面白いし、写真や伝え聞く言動からもなんとなくイメージとしてはわかる気もするが、愉快ではない。本書の解説にも「常識はずれのエゴイストとして描かれているので、新設大学の名称と共にモデルの本名は明かさないのが礼儀だろう。」とある。ということなので、私も、どこに通っているのかは書かぬ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.30 00:54:54
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