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2007.05.17
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カテゴリ:日本の小説
恩田陸
『黄昏の百合の骨』
講談社文庫



『麦の海に沈む果実』後の水野理瀬を描いた幻想ミステリ。魔女の館に隔された謎と一連の怪事件の真相に迫る。

本作は、『三月は深き紅の淵を』に関連付けられる一連の作品群の中の、水野理瀬をヒロインに据えた系統の作品で『麦の海に沈む果実』の続編として位置づけられる。関連作品を読んでいれば独特の雰囲気に馴染みやすく、作品の中に散りばめられた謎めいた記述についてより一層楽しむことができる。とはいえ、『三月は深き紅の淵を』関連の作品の関連は実に緩やかで、特に本作は独立性が高いため、これ一冊だけでも十分ミステリとしては楽しめる。

この作品も他のシリーズと同じく、独特の恩田ワールドが転回されていく。この恩田ワールドを一言で説明するならば、幻想と現実の狭間にある儚くも奥深い世界と言えるのではないかと私は考えている。黄昏のような美しさと不気味さの混在する瞬間を舞台に、百合のように美しく華やかで強烈な魅力を持った登場人物によって、読者は奥深くに埋められた凄惨な骨の真実を垣間見る。恩田陸のシリーズはたいていこのような筋書きになっている気がする。

この作品の舞台も、日本を舞台としながらもどこか西洋風ファンタジー世界の香りが感じられ、謎めいた事件の舞台として申し分のない舞台装置に仕上がっている。特に水野理瀬のシリーズはいかにもな館が主な舞台となっておりミステリ色が濃い。登場する知的でミステリアスな少年少女たちも透明感と底知れぬ闇を兼ね備えており、読者を惹きつける。事件のほうはこれまでの関連作品よりも比較的普通ではあったが、小さな謎を散りばめるという手法は今回も遺憾なく発揮されワクワク感を高める効果を高めていた。最後の最後に一波乱あって最後まで気を抜かせないところも良かった。





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Last updated  2012.04.06 10:03:12
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