|
カテゴリ:芸術活動について
2006年5月30日発行号公開
ブルーシャ西村のエッセイ「強引ぐ マイ ウェイ」 vol.68 06/05/30 (火) 発行 「ヨーロッパの貴族階級の人々の教育観」 スペインに住んでいた頃、貴族の友人ができました。その貴族の友人から貴族階級の人々と知り合い、交流を持ち、価値観を知って学ぶことが出来ました。ジョアン・ミロ財団の講座に通ったときに、そこで知り合いました。そんな場所でなければ、貴族とはすれ違うことがないに等しいです。知り合う場所、環境って大事ですね。自分のフィールドを上げていくと、知り合う人々もフィールドが上がっていき、ガラっと変わります。 ヨーロッパは貴族階級社会なので、階級の格差が激しく、貴族とは、普段の生活で接する機会が全くありません。普通の階級の人々とは接点がなく、別れて暮らしていて、すれ違うこともありません。彼らは子供の頃から学校も違うし、親の教育観も違うし、別の階級の人々と話す機会もないし、結婚も貴族同士でしかしません。価値観が違いすぎて、他の階級の人々とは合わないため、貴族の間で社交界があって、そこで結婚相手を探します。 ですから、スペインで普通の階級や労働者階級の友人と、貴族の友人と同時に会う機会を持つことはできなかったし、別々に会っていました。 そのくらい、階級別に、特に貴族の考え方、価値観、人生の優先順位のつけかたが、全く違っていたのです。同じ国に生まれ育っている人々が、こんなに価値観が違うなんて、本当に驚きました。 日本は階級社会ではないので、まだ全体に平等なほうで、ましだなと思いました。アメリカは、どんな境遇に生まれている人でも、優秀な人にはチャンスが与えられる国なので、そんなところが気に入ってしばらくNYに住んでみています。 でも、そんな貴族の考え方、価値観から、私はとても多くの物を学び、自分の人生に教訓として取り入れて生きるようになりました。私は貴族からとても大きな影響を受けました。日本にない考え方でした。 それは、 「35歳くらいまではずっと留学したり勉強したり、好きなことをして知識を蓄えて、才能を育てて伸ばして、35歳過ぎてから、そろそろ働いて社会に還元していこう」という考え方です。 私はびっくりしましたね~。貴族は、さてそろそろ働こうかなと考え始める年齢が、35歳くらいなのです。友達で、貴族の人々は、誰も働いていなかったのです。友人の家庭では、代々みんな、20歳のときに親から2000万円渡されて、「自分で考えて、今後の人生のために好きに使いなさい」と言われるそうです。そのお金で友人は、海外に留学していました。 貴族は、教養が一生の糧になるということを、親が子供に教えます。 貴族は、勉強と才能を伸ばすことに時間を費やして、働き始めるのが35歳ごろなのです。一方、労働者階級の子供は、15歳くらいから一日中フルタイムで働き始めます。親が、「勉強なんてしても無駄だ」と教えるのです。この差、20年くらいの開きがあるなんて、同じ国の子供なのだろうか、と思いました。 その結果、何十年先の人生がそれぞれどうなっているか? 労働者階級は、労働者のままで教養を身に付けていないので、そこから這い上がることができません。人の何倍も働き続けて、商人になって成功する人がたまにいるくらいです。労働者階級の人々は、空いている時間は働いてお金を稼ぐことに費やそうとします。 その反対に、貴族は、20年以上かかって身に付けてきた教養がたっぷりあるので、歴史に残る大芸術家になっていく人が多いのです。作家、画家などです。 ちなみにスペインでは、お金持ちの子息しか、絵を学ぶことができません。絵画学校には、お金持ちの子供しかいませんでした。絵画は、長年の修行が必要でごまかしが効かない世界で、一人前になるまでに膨大なお金がかかるからです。 そういうわけで、価値観が違いすぎて、労働者階級と貴族の友人と同時にみんなで会えなかったし、会わせられないのです。これは、日本では体験しなかったことで、カルチャーショックでした。 でも、日本も、大体半分くらいの人は、大学卒業した22歳から働き始めるので、まだまだ、ヨーロッパに比べたら豊かな国ではないのだなと感じました。 私はそれに途中で気が付いて、芸術の道を極めるには、ヨーロッパの貴族の価値観で生きていこうと考えるようになりました。それからは、時間を買っている感覚で、働く労働をできるだけ控えて最小限に抑えつつ、ずっと学ぶことに時間とエネルギーを割いて、自分の才能と教養を育てていこうと決心しました。芸術家になるためには、労働に時間を費やすわけにはいかないので、時間とお金の戦いが続きますね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年11月28日 02時47分39秒
コメント(0) | コメントを書く
[芸術活動について] カテゴリの最新記事
|