今年度の文化勲章の叙勲が発表されました。
上方落語界の重鎮で無形文化財技術保持者(人間国宝)の
桂米朝師匠が受賞されました。江戸・上方とも落語界初めての快挙です。
受賞の記者会見では「これくらいしか、できまへんねん」
とおっしゃっていましたが、教養の幅は凄まじく信頼も篤い方です。
個人的には遅すぎるぐらいですが、ファンとしてもとてもうれしい事です。
この落語と言うのが実に文化としては深遠なるモノでして、
オチまで分っていながら何回でも楽しめる不思議な芸です。
身振りももちろんですが、音声のみの商品もありますので、
映像が無ければ楽しめないという事でもありません。
表現方法が限定されにくく、且つ演じる方で魅力が増す演目もあります。
この事は映画やドラマでは非常に難しく、
「羊達の沈黙」は最初に見たときに心臓バクバクでしたが、
二度も三度も見たいとは思いませんし、「大脱走」も同じです。
「サイコ」や「ダイヤルMを廻せ」はヒッチコックの名作で、
最近リバイバルで作り直されました稀有な存在です。
逆にアクション映画では作り直しは難しい気がします。
比べる対象が極端すぎましたが、
多分落語の様に語り継がれるような文化は何処の国にも有るはずですが、
名人芸が作品に磨きを掛け、
ユーモアと感動作の両方味わえるのも落語や講談、浪花節ならではです。
考案された江戸の時代より一字一句変えずに演じるお題もあり、
何度も演じる人で書き加えられた作品もあり、現代落語という種類もあります。
人情話が大好きだったり、放送できないような話だったり実に様々で、
いわゆる名人と言われる方ほど型に嵌らない特徴が際立つ演じ方で、
この事は聴く側も承知で、伝統と革新が織り成す見事な大衆伝統文化です。
今回の米朝師匠の受賞は文化勲章に相応しくファンとしても嬉しい受賞です。
ウロコ雲を見上げて posted by
(C)違いがわかる男