TV東京の番組で「ルビコンの決断」と言う番組を放映しています。
経済ドキュメンタリードラマでして毛色はプロジェクトXのパターンです。
プロジェクトXでもシャワートイレの特集を組んだ事がありますし、
もう当たり前になりましたが、日本ならではの技術です。
ルビコンの決断ではシェア40%を誇るTOTOの技術革新の苦労と
1%でも独自色を全面に勢いづくパナソニック電工の開発秘話を
メジャーなイケメン俳優がドラマ仕立てで演じていました。
陶器で造るので焼く度に縮んで行き職人の技量とノウハウの産業で、
TOTOとINAXはシェアを二分し鎬を削ります。
この陶器の製作につまづき、撤退を余儀なくされたパナソニック電工が、
方針を転換し樹脂製の物を造る決断とを比較対照させての構成でした。
実に面白く、パナソニックの総合企業としての実力を垣間見る思いでした。
もちろんTOTOは既に世界的にも4位の企業で、
ブランドも申し分なくワールドワイドに看板を張れる企業です。
更にタンクレス、水道圧に依存しないタイプの開発など王道を行きます。
進化は従来の流す水13Lから一気に6Lまで半分以下にして、今は5Lを切る勢いです。
この水量は各メーカーの技術の指針のような物で、
日経新聞の新製品紹介には「ついに〇・〇Lの新製品」などと数字が踊ります。
水道料金に直結しますので少ない水量は大歓迎です。
車の燃費競争や、カメラの画質競争に良く似た展開です。
陶器から樹脂にシフトしたパナソニックも艱難辛苦の連続ですが、
番組を見る限りは樹脂にシフトする事でトイレ以外の技術派生も見逃せません。
トイレは大ヒットでCMでも良く見ますし、樹脂の弱点の傷つきやすさも克服しました。
そうなると色もコントロールでき、同社他の家電の個体の部品としても使えますし
金型一つでガンガン作れますので社風にピッタリの方向転換と言えるでしょう。
パナソニックとしてはトイレでヒットすれば元が膨らみ、
開発技術が自社製品でブレークスルー的に使えればあっという間に償却できます。
価格競争に強い体質が確保され、更なる開発費用も捻出できます。
世界4位のTOTOも凄いですしがんばって欲しい企業ですが、
パナソニックの家電・電工メーカーとしての体質に感心しました。
強く、美しく、生産性の高い樹脂製品の一翼を担う現場を見た思いでした。
自分たちが最も得意な分野で有利なポジションを確立するのが松下流のようです。
個人的には発売前の役員会議でのプレゼンはいかにも日本的で、
生産性の足かせのような役員や幹部の在り方も既に古い体質ですので、
企業のためにも重役が今の数や存在も見直す必要があるはずです。
深山の朱 posted by
(C)違いがわかる男