今年は、かの大作曲家リヒャルト・ワーグナーの生誕200年でして、
ワークナーの熱狂的ファンの事をワグネリアンと言いまして、
生誕地、バイロイトではワグネリアンでごった返してると紙面に書いてありました。
この生誕200年にあわせてBSのドキュメンタリーで、
自らワグネリアンであり、ユダヤ人であるが故の葛藤を前後編で放送してました。
ご存知の方が大勢いらっしゃるとは思いますが、
簡単に説明しますとワーグナー自身が反ユダヤ主義であり、
ナチス政権時代にあらゆるシーンにBGMで使っていた事が、
ワーグナーを語る上で避けては通れない音楽史の陰の部分です。
楽劇ニーベルングの指輪の第一幕で使われるワルキューレの騎行が、
コッポラの映画「地獄の黙示録」でも戦闘シーンで用いられていますし、
実際、映像とピッタリ来る感じは世界共通なのでしょう。
ドキュメンタリーの主人公は実に誠実で人間味の感じられる人物で、
淡々と歴史的な事実を語る所作からは粗暴な感じは全く見受けられません。
世界的な指揮者のダニエル・バレンボイムも、
音楽家としてワーグナーの楽劇は人類の至宝であり、
演じられる音楽は珠玉の名曲ばかりであるとし、
故郷、イスラエルでコンサートを行った際に、非難を受け場外でトピックになりました。
ダニエル・バレンボイム/ワーグナー:管弦楽名曲集 【CD】
ワーグナーのパトロネージュの影響かも知れませんし、
直接ユダヤ人ホロコーストと関係ないはずですが、
ナチスを率いた歴史上の独裁者が好んだと言う事で、
ドキュメンタリーの中の表現として[見事なシルクのタペストリー]に
消す事のできない染みが着いていて、気になる人は染みを無視できず、
気にならないと言う人はタペストリーの見事さに感動すると言う表現でした。
本当にその通りでして、私も染みの事は知っていますが、
やはりワーグナーの管弦楽は孤高の存在であり、人類の財産だと感じます。
いずれも聴いたことのある曲ばかりでCMなどでも世界中で良く使われます。
ドキュメンタリー氏は折り合いを簡単につけることなど出来ませんでしたが、
これからもワグネリアンの看板は下ろさず音楽を堪能すると言ってました。